11月24日、兵庫県の三田市役所の前では市民らが怒りの声をあげていました。彼らが訴えていたのは『市内から唯一の公立病院が無くなるのか、無くならないのか』という問題です。 三田市役所に向かってシュプレヒコールをあげる市民たち。今、三田市で問題となっている「市民病院の再編統合計画」。三田市民病院は19の診療科を持つ市内唯一の公立病院で、24時間対応の救急外来を構え、市内の救急搬送の6割以上の受け皿となっている地域の中核病院です。しかし、医師不足や設備の老朽化などの課題があり、市は6年前から神戸市などとともに病院を再編統合する議論を進めてきました。 そして去年、隣接する神戸市北区にある済生会兵庫県病院と統合させ、約5km離れた北区内に移転する方針を決定。これに対して市民からは「救急搬送が間に合うのか」「アクセスが悪い」などといった不安の声が上がっていました。 そんな中、今年7月に行われた市長選挙で現職を破って当選したのが、病院移転の「白紙撤回」を公約に掲げた田村克也市長。ところが、就任後に改めて公約について聞かれた田村市長は、病院移転の「白紙撤回」にあいまいな態度を示すように… (田村克也市長 9月)「辞書では、白紙撤回という…辞書と公約、法的根拠含めて私は理解は多少というか大きく違っていると思います」 田村市長は「『白紙撤回』とは再編統合を取りやめることではなく、市民に情報を広く伝えること」だと説明したのです。これに怒り心頭なのが三田市民です。 (再編統合反対の市民)「投票した市民が望んでいるのは会議ではありません。公約実行です」 (再編統合反対の市民)「もし白紙撤回を撤回するような話なら選挙をやり直してくださいよ、当然でしょ」 (田村克也市長)「白紙撤回を…いわゆる公約は『地域医療の充実化』であるということのプロセスで、公約に掲げた内容については別に言っていないというつもりはございません。白紙撤回の撤回をしたということ?私が?ちょっと理解できないんですけど」 (再編統合反対の市民)「ちょっと市長の言っていることも理解できないです」 市民から「公約違反だ」とする批判の声がさらに高まる中、11月24日に開かれた三田市議会。その冒頭で市長は… (田村克也市長)「結論から申し上げます、これまで凍結してきた三田市民病院と済生会兵庫県病院の再編統合計画について、本日を持って再開いたします」 さらに、「市民の命を守るためには再編統合が唯一の方策である」として、「病院移転の白紙撤回」を事実上撤回し、予定通り再編統合を進めると表明しました。 これを受けて市議らが「公約の解釈を選挙後に変えることになれば、選挙そのものが成り立たなくなる」として、問責決議案を提出。賛成多数で可決されました。 白紙撤回の撤回に市民は… 「口先だけの公約やったんかと思う」 「(移転は)困ります、めっちゃ困る。公約違反ですね。市長選をやり直せるものならやり直してほしい」 「(統合は)仕方がないんかなと思いますけど。市民病院だけど経営があまり良くないと聞いているから。よく知らんと公約にしたのはあかんと思いますけどね」