福岡県春日市で去年12月、ストーカー禁止命令が出された元交際相手の女性を刃物で刺して殺害しようとしたなどとされる男(24)の裁判員裁判が24日開かれ、検察側は懲役12年を求刑しました。男は殺人未遂や銃刀違反などの罪について「間違いありません」と述べる一方、ストーカー規制法に違反したとされる罪は否認しています。
◆前日にストーカー“禁止命令”が出されていたにも関わらず…
起訴状などによりますと、無職・片山敦稀被告(24)=福岡県久留米市は去年12月、春日市の駐車場でかつて交際していた女性(当時21歳)の首などを刃物で複数回刺して殺害しようとしたなどとされています。女性は首や肩、腕などに全治1か月の重傷を負いました。事件の前日、片山被告にはストーカー規制法に基づく禁止命令が出されていました。これまでの審理で片山被告は殺人未遂罪と銃刀法違反の罪について「間違いありません」と述べる一方、ストーカー規制法に違反したとされる罪は否認しています。
◆“好意と怨恨”で待ち伏せか?
検察側は起訴にあたって「恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかった怨恨の感情を充足する目的で待ち伏せした(ストーカー規制法違反の起訴内容について)」「すれ違いざまに腕を巻き付けて駐車場に引き倒し、折りたたみナイフで首を何度も突き刺した(殺人未遂の起訴内容について)」などと主張。冒頭陳述でも「交際期間中と別れた後の言動に恨みを晴らすため殺害し自殺することを決意した」「恋愛感情が満たされず怨恨の感情を充足する目的でつきまとった」と述べていました。弁護側は「好意の感情が満たされなかった怨恨の感情を充足する目的はなかった」としてストーカー行為については無罪を主張しています。
◆検察側は懲役12年を求刑
今月20日から始まった裁判員を交えた審理は4日目を迎え、検察側は「被害者に対する異常な執着心から恨みや憎しみを抱き、それを晴らすために行われたもので、短絡的身勝手で動悸や経緯にくむべきことはない」として懲役12年を求刑しました。弁護側は「被害者の言動などで精神的に追い詰められた。自殺しようとした被害者の落ち度もある。怪我の程度は同種事案の中でも軽く、反省している」として懲役4年が相当だと主張し、結審しました。判決は、来月1日に言い渡される予定です。