クマによる人的被害が相次いでいることを受け岩手県は27日、盛岡市内で緊急対策会議を開いた。クマの捕獲などを手がける県猟友会幹部が出席し、「出没の多さに疲れ切っています」と窮状を訴える一幕もあった。
間もなくクマが冬眠する時期を迎え、被害も落ち着くとみられている。しかし、人に慣れたクマは冬眠が遅れる懸念もあり、参加した市町村や農協などの関係者は、引き続き警戒を怠らないよう確認し合った。
岩手県内のクマによる人身被害件数は今年11月20日時点で47件。24件だった22年の約2倍に達している。
会議では、クマの生態に詳しい岩手大農学部の山内貴義准教授が講演。牛舎に入り込み、牛のエサを食べたりするなど、人に慣れたクマの映像を紹介。「クマの行動自体が変容している」と指摘した。
県猟友会の寺長根実専務理事によると、今年は出没情報が相次ぎ、特に平日に対応可能なベテランに市町村などからの要請が集中。今年の夏以降は毎日のように対応に追われていると説明した。【釣田祐喜】