「(万博は)日本こそ最大のチャンス」「経済効果についても積極的に発信していきたい」──。2025年大阪・関西万博について、先月20日の会見で意気込みを語っていた大阪府の吉村知事。チャンス連呼の威勢の良さはどこへやら。増え続ける費用など問題続出で万博への風当たりが強まる中、最近はすっかりトーンダウンだ。
吉村知事は自身のX(旧ツイッター)や会見で「万博はチャンス」「経済効果は2.4兆円」と繰り返してきた。
ところが、先月18日に〈世界160ヶ国が結集する日本こそが最大のチャンス〉と自身のXに投稿して以来、現在まで日本のチャンスに触れたのは一度きり。
〈万博開催…18歳の7割が賛成 「経済効果」「文化発信の好機」〉(同21日)との投稿を最後に、万博の経済効果に関する発信もパタリとやんだ。
「積極的に発信していきたい」と表明してから、わずか2週間で“ダンマリ”。5日の会見は今までと明らかに様子が違っていた。
万博の費用や会場建設の遅れなどの課題に自ら触れ、「そういった報道がほとんどですから、どんだけ機運醸成しても一気にかき消されますんで」とマスコミへの嫌みを込めて指摘。「課題をひとつひとつ乗り越えることが機運醸成につながると思っています」と珍しくまっとうな意見を述べたのだ。
課題山積の中で機運醸成は難しいと諦めたのか、行き過ぎた宣伝への反省なのか。「チャンス吉村」から一転、万博アピールに必死な姿勢は鳴りを潜めている。
今度は「学費無償化」をアピール
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「大屋根(リング)の巨額費用などを巡る批判が相次ぐ一方、吉村さんは万博協会副会長でありながら『身を切る改革』に後ろ向き。政治決断ができる立場なのに、コスト削減に向けた具体策すら出せていません。リングにはクギを使わない『貫工法』を使っていると喧伝していますが、実際はボルトや金属プレートを使った『伝統工法もどき』です。万博について口を開けば批判されるからか、最近の吉村さんは、東京都が高校授業料の実質無償化を打ち出したニュースに便乗。大阪の取り組みを引き合いに『高校授業料の無償化を全国でやるべきだ』と気炎を上げています」
7日発売の週刊文春には、吉村知事の“親密企業”が万博関連事業を次々に受注していると報じられている。
もはや2025年大阪・関西万博の機運醸成は雲散霧消。吉村知事の変わり身は、「ノーチャンス」を認めたに等しい。