先週、時事通信の世論調査(12月8~12日実施)で内閣支持率が17・1%となり、ついにメディア各社のトップを切って10%台に突入した。今週の毎日新聞(16、17日実施)でも17%と10%台が出た。これは政権末期の数字だ。
毎日新聞の調査では、自民党の政党支持率が7ポイントも下落して17%。これに対し、立憲民主党は5ポイント上昇して14%と肉薄した。日本維新の会の13%を合わせると野党第1党と第2党で27%になり、自民党を上回る。
ただ、毎日新聞は調査方法が他社と違い、野党の数字が高く出る傾向がある。同時期に調査した朝日新聞や読売新聞では野党の支持率は上がっていないし、朝日新聞の調査では、自民党に対抗する勢力として今の野党に「期待できない」が78%にも上った。
岸田文雄政権、あるいは自民党に対して国民は怒っているが、だからといって野党に政権を渡そうとはまだ思っていないようだ。衆院を解散すると、与党で過半数は取れるかもしれないが、議席は大幅に減るだろう。これでは解散はできない。
読売新聞の調査で、「首相にどのくらい続けてほしいか」と聞いたところ「すぐに交代」が36%、「自民党総裁の任期が切れる来年9月まで」が52%で、つまり「次の総裁選にはもう出るな」ということだ。
岸田首相はあと10カ月、粛々と「やらねばならぬこと」をこなすことになる。防衛増税や、少子化対策のための社会保険料の値上げ、さらに政治資金の規制強化は、いずれも世論を横目で見ながらになるので、なかなか進まないのではないか。
今後の関心は「ポスト岸田」に移るが、選択肢は3つある。
最初は、麻生派(志公会)と茂木派(平成研究会)、岸田派(宏池会)の主流3派が、当初の方針通り茂木敏充幹事長を担ぐ、もしくは上川陽子外相に差し替える、または林芳正官房長官もあり、という「禅譲」型。
次は、先週も書いた菅義偉前首相ら非主流派が、「小石河連合(=小泉進次郎元環境相、石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相の3人)」の一人を担ぐという「岸田降ろし」型。
最後は、安倍晋三元首相が「保守のスター」と呼んだ高市早苗経済安保相が、岸田政権のリベラルな政策に反発する党内の保守派を味方につける「保守の反乱」型。
先日の高市氏の勉強会結成や、最近の石破氏の「岸田降ろし」的な発言に対し、党内からは批判の声の方が多いが、もはやそんなことを言っている場合ではない。
遅くとも10カ月後には、日本は「新しい首相」を決めなければならないのだから、ここで名前が出た政治家の皆さんはこれから先、ぜひ自分の「国家再建のビジョン」を語ってほしいのだ。そして、その中から自力で抜け出した人が「次の首相」だ。 (フジテレビ上席解説委員)