いじめで不登校、重大事態認定に7カ月 芦屋の学校、第三者委が批判

兵庫県芦屋市立小学校で、児童が長期間不登校となる事案があり、市教育委員会は22日、原因は携帯電話でのメッセージで誹謗(ひぼう)中傷されるなどのいじめだったとする第三者委員会の調査報告書を発表した。学校が「重大事態」と認定したのは、児童側の訴えから約7カ月後で、第三者委は「認定は遅きに失した」と学校や市教委への対応を批判した。
報告書によると、2021年12月、当時4年生の被害児童は、自分への誹謗中傷が書かれた携帯電話の画面を同級生から見せられたり、悪口を言ったとのうその情報を別の同級生に告げられたりした。22年3月末までに58日間登校できず、今春には転校した。第三者委は、誹謗中傷が書かれた画面を見せた行為や、5年生になっても、携帯電話を見せた同級生が接近して苦痛を与えた行為などの5件をいじめと認定した。
いじめ防止対策推進法の指針で、いじめが疑われる欠席が年間30日以上となった場合に重大事態と認定すると定めている。しかし、誹謗中傷があった直後に保護者からいじめの指摘を受けたにもかかわらず、認定は22年7月だった。市教委も対応を学校に任せたままで、市長に報告したのは同年9月だった。
報告書は学校や市教委の対応について「欠席が30日間を超えた22年2月には重大事態と見なすべきだった。『まずは学校で』との姿勢に終始し、連携の不十分さや対応の消極性を指摘せざるを得ない」とした。
福岡憲助・市教育長らがこの日、記者会見し、「被害児童や関係した方におわびする。指摘を真摯(しんし)に受け止め、今後のいじめの早期発見、早期対応を徹底する」と謝罪した。認定が遅れた理由について市教委は「誹謗中傷がやみ、経過観察をしていた。学校と市教委がさらに連携を強くし、スクールカウンセラーら専門職の意見を聞くなどすれば早期の認定がありえた」などと釈明した。再発防止策として、教職員向けの研修会の実施や各学校のいじめ対応の基本方針の見直しなどを挙げた。【土居和弘】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする