自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件で、東京地検特捜部は安倍派(清和政策研究会)の塩谷立座長ら同派幹部を任意で事情聴取を始めた。議員側が集めたパーティー券の販売ノルマ超過分を還流して裏金化していた経緯について認識を確認したもようだ。「ザル法」と呼ばれる政治資金規正法の厳格化が検討されているが、作家でジャーナリストの門田隆将氏(65)は、同法では外国人献金を禁止しているにもかかわらず、外国人のパーティー券購入が「抜け穴」に使われていることを問題視し、「法の趣旨に反している」と批判した。
政治資金規正法は第22条の5で、「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(中略)から、政治活動に関する寄附を受けてはならない」と、外国人献金を禁じている。外国勢力が、政治活動や選挙に影響を与えて国益を損なうのを防ぐのが狙いだ。
ところが、パーティー券購入には国籍の制限が設けられていない。
政治評論家の有馬晴海氏は「外国人によるパーティー券購入の話は、与野党で聞いたことがある。外国人の政治献金(=寄付)が禁じられているなか、政党や派閥、議員には、パーティー券はありがたい存在だ。国籍もさまざまあり得る」と指摘する。
昨年、『日中友好侵略史』(産経新聞出版)を上梓し、外国勢力の国政への浸透工作問題に迫った門田氏は次のように指摘する。
「私は昨年5月に都内で開かれた岸田派(宏池会)の政治資金パーティー『宏池会と語る会』に出席した中国人から直接話を聞いた。多くの中国人や中国系の関連団体が出席し、20~30人のグループなど、中国人の参加者は会場のあちこちにみられたという。彼らは政治家とのつながりを深めるなど、特定の目的を持って券を購入していた。パーティー券を大量に購入してもらうことは〝借り〟をつくることだ」
岸田文雄首相はこのパーティーで、「宏池会はますます一致団結し(中略)日本の国益のために、国民の幸せのために全力を尽くしていきたい」と気勢を上げていた。今月7日、首相は派閥離脱を表明した。
門田氏は「外国人がパーティー券を購入できるというのは、外国勢力の国政への関与を防ぐために外国人の献金を厳しく禁じている政治資金規正法の趣旨に反する。パーティー券購入者の国籍についても法改正で制限すべきだ」と語った。
夕刊フジでは宏池会や、同会で幹部経験のある議員の事務所に対し、政治資金パーティーに外国人が出席していたのか、パーティー券を外国人が購入していたのかなど質問状を送付した。