自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を議員側に還流させ裏金化していたとされる事件で、東京地検特捜部が同派幹部の萩生田光一前党政調会長から任意で事情聴取したことが26日、関係者への取材で分かった。
松野博一前官房長官、高木毅前党国対委員長、世耕弘成前党参院幹事長、塩谷立元文部科学相の4人も既に任意聴取を受けたことが判明しており、会長不在の安倍派で聴取が行われた幹部は計5人となった。いずれも派閥の政治資金収支報告書の不記載について、関与を否定する趣旨の説明をしたとみられる。
特捜部は、裏金化が派閥主導で組織的に行われた疑いがあるとみて、幹部らと会計責任者の共謀がなかったかなどを捜査。幹部の一人、西村康稔前経済産業相の任意聴取も検討しているもようだ。
関係者によると、安倍派では所属議員が派閥のパーティー券を販売する際、当選回数や役職によってノルマを設定。ノルマ超過分の収入を議員側に還流させていたが、派閥や議員側の収支報告書に記載せず裏金化していた疑いが持たれている。
大半の議員側が裏金として還流を受けていたとみられ、収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2018~22年の5年間の総額は約5億円に上る可能性がある。
幹部では松野、高木、世耕3氏が各1000万円超、塩谷、萩生田両氏がそれぞれ数百万円、西村氏が約100万円とされる。
特捜部は、幹部5人の任意聴取でそれぞれの収支報告書の不記載についても認識などを確認したとみられる。
[時事通信社]