元日の能登半島地震と2日の羽田空港での航空機衝突事故と、2024年は「動乱の年明け」となり、年末年始を公邸で過ごした岸田文雄首相は、「静養どころか連日連夜の陣頭指揮」(側近)で大わらわだ。
その岸田首相が政権危機打開のため決断したのが、「政治刷新本部」の発足。昨年末から東京地検特捜部の捜査が進む「派閥の巨額裏金事件」による国民の信頼失墜に歯止めをかけるため、自ら本部長となって政治資金透明化などの「政治改革」に取り組むための総裁直属組織だ。
ただ、「自民党の宿痾」とされる“政治と金の闇”に大胆に切り込めるかどうかは、早くも疑問符が付けられている。このため、今回の政治改革の前途は極めて不透明で、永田町では「すべては岸田首相の決断次第。それで政権の命運が決まる」(閣僚経験者)との声が広がる。
麻生、菅両首相経験者を最高顧問に
岸田首相(自民党総裁)は4日の年頭記者会見で、安倍、二階両派を軸とする派閥パーティ―を巡る巨額裏金事件に、党全体で対応するための「政治刷新本部」設置を表明。これを受けて自民党は10日の臨時総務会で同本部の新設を決定し、岸田首相は党内論議の促進を訴えた。
同本部は麻生太郎副総裁と菅義偉前首相が首相経験者として最高顧問に就任。さらに茂木敏充幹事長や森山裕総務会長ら党七役に加え、首相最側近の木原誠二幹事長が事務総長、小倉将信前こども政策担当相が事務局長に起用されるほか、小泉進次郎元環境相ら青年局長、女性局長経験者が参加する見通し。
さらに複数の若手議員、外部有識者も加えるため、メンバーは38人の大所帯となり、11日に初会合を開く。菅氏と共に最高顧問に就任する麻生氏は8日の地方講演で、「信頼をきちんと回復し、引き続き政権を担っていく決意を新たに対応していきたい」と改革断行への決意を強調してみせたという。
同本部は今後、1月26日召集予定の次期通常国会の開会前の中間取りまとめに向け、政治資金の透明性拡大や派閥の在り方のルール策定を協議する。当面の再発防止策としては、党による派閥パーティー収支の監査、収入の原則振り込み化などが想定されている。
異例の池田議員逮捕、二階氏も事情聴取―東京地検
その一方で、東京地検は二階派会長で党重鎮の二階俊博元幹事長から事情聴取する一方、松の内最終日の7日には安倍派の池田佳隆衆院議員と同氏政策秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕するなど、異例ずくめの捜査手法で事件解明に突き進んでいる。