三重県玉城町の町立田丸保育所(同町田丸)で、給食を早く食べるよう園児に強要するなどの行為があったとして、町が50代の女性保育士を厳重注意したことが町や保育所への取材で分かった。町は不適切保育にあたる可能性があるとして、詳しい調査を始めた。【原諒馬】
町によると、この保育士は2023年4月から同保育所で勤務し、年中クラス(4~5歳児、約20人)を受け持つ。町は、給食を早く食べるよう泣くまで叱りつけた▽園児の腕を引っ張って廊下に連れ出し、大声で叱責した▽母親と園児の面前で「クラスのみんなが迷惑している」と注意した――などの不適切な行為が、昨年4~12月に計7件、前任の別の町立保育所で1件あったとした。
保育士は事実関係を認めた上で、「不適切だという認識はなかった」と述べたという。町は、この保育士が関わった不適切な事例が他にもなかったかどうか、過去に勤務経験のある保育所を中心に、町内全4カ所の保育所職員らへの詳しい調査を2月中に実施する。
田丸保育所の坂谷久美所長は「保育士に対する指導ができていなかった。保護者やお子さんに申し訳ない」と話した。
一方、町はこの保育士の勤務を現在も続けさせている。町保健福祉課の見並智俊課長は「本人が反省している。代わりの保育士を確保することが難しい」と理由を述べた。
県子どもの育ち支援課は今月5日、町から一連の問題について報告を受けた。同課の担当者は、勤務を続けていることが妥当かどうかについて、「個別の事情を聴いておらず、現時点では判断できない。町の調査の進捗(しんちょく)を確認しながら、改善に向けた対応を取る」と述べた。