TBS系「news23」(月~木曜・午後11時。金曜・午後11時58分)は11日、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会が昨年8月から審議していた同番組で放送された、農業協同組合(JA)の共済に関する放送内容の見解を明らかにし「放送倫理違反があった」としたことを報じた。
昨年1月の放送では、インタビューされた男性Aが「(地方の農協で)自爆営業が横行している」と告発。男性Aの顔をぼかすなどして放送していたが、身元を隠す措置が不十分だったため、職場で身元がばれてしまい、退職に追い込まれたなどと一部週刊誌で報じられていた。
放送倫理検証委員会で委員長を務める小町谷育子弁護士は「放送倫理違反があったと判断しました。安易な取材姿勢といえる」と厳しい見解を述べ「取材協力者は一般市民であり取材を受けた経験もない。十分な時間を取り、信頼関係を築き、身元が特定されないようにしなければならないが十分になされていなかった」と意見した。
番組では、BPOからの意見書を伝え、TBSが打ち出した再発防止策を約6分間にわたり伝えた。
小川彩佳キャスターは「取材源の秘匿は報道機関が守るべき大原則です。特に調査報道は内部告発者の情報提供などから自らの責任で事実を掘り起こし、社会に問題提起をするということを踏まえれば報道機関の信頼が大きく揺らいだ深刻な事態と受け止めております」とし「取材を受けていただいた方々、視聴者のみなさまにおわび申し上げます。申し訳ありませんでした」と頭を下げ謝罪した。
そして「今後、私たちは取材源の秘匿を必ず守り抜くことに全力で務めてまいります」と約束していた。