政治資金規正法改正で議員の罰則強化、自民が検討…公民権停止を念頭

自民党は、政治資金規正法を改正し、国会議員などの政治家に対する罰則を強化する方針を固めた。派閥による規正法違反事件を受けたもので、政治団体の会計責任者に重大な違反があれば、政治家も責任を負い、公民権停止などの罰則の適用対象とする仕組みの導入を検討している。
複数の自民関係者が明らかにした。26日召集の通常国会で与野党協議を通じ、詳細な制度設計を行い、規正法改正案の成立を目指す。
現在の規正法では、政治資金収支報告書に不記載や虚偽記入があった場合、記載義務を負う会計責任者に罰則が適用される。政治団体の代表者を務める国会議員らの立件は、具体的な指示や明確な報告・了承を行うなどの共謀を立証する必要があり、ハードルが高いとされる。
見直しでは、共謀がなくても、国会議員らに連帯して、公民権停止や罰金などを科す制度を実現したい考えだ。不注意の記載漏れといった事例もあるため、悪質性の度合いに応じ、適用するための基準作りを行う。会計責任者が起訴され、有罪になった場合を基準とする案が出ている。
岸田首相(党総裁)が党内に設置した「政治刷新本部」の議論では、規正法違反を巡り、会計責任者の議員秘書らだけが刑事責任を問われるケースが多いことについて、「政治家の責任逃れだ」との意見が出ており、自民幹部は規正法の厳罰化が必要だと判断した。
公明党も、公職選挙法で秘書らの違反によって議員の当選が無効になる「連座制」を参考に、規正法で議員らの責任を強化することを主張している。
派閥パーティーは禁止へ

一方、自民は派閥の見直し策として、現在、自粛している派閥の政治資金パーティーを禁止する方向で調整に入った。
今回の事件は派閥パーティーに絡んだもので、開催の継続は国民の理解を得られないとみているためだ。派閥の主要な収入源を断ち、集金・分配機能を制約することで事件の再発防止を図る。派閥による閣僚などの人事への関与と併せ、党のガバナンスコード(統治指針)に禁止を明記することを検討する。

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