日本の探査機SLIM、月面着陸に成功 世界5カ国目 JAXA発表

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」が月面着陸に成功したと発表した。旧ソ連、米国、中国、インドに続く世界5カ国目の快挙。日本の探査機が地球以外の天体への着陸に成功したのは、2005年のはやぶさ(小惑星イトカワ)、19年のはやぶさ2(小惑星リュウグウ)に続き3例目。
着陸直前に、搭載した2台の小型ロボット「LEV―1」「LEV―2」の分離にも成功した。一方、SLIM本体の太陽電池が発電できておらず、着陸時の姿勢が予定通りでなかった可能性がある。数時間はバッテリーを動かし、飛行ルートのデータを優先的に地上で受信したという。
SLIMは昨年9月、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、同12月に月の周回軌道に入った。今月19日午後から高度を下げ、20日午前0時ごろ、月面へ降下を開始。予定通り約20分後に降り立った。
SLIMの着陸目標地は月の東側、赤道のやや南にある「神酒(みき)の海」の「SHIOLI」クレーター(直径約300メートル)付近の傾斜地。最大の任務に掲げた「誤差100メートル以内のピンポイント着陸」の成否判定には約1カ月かかる見通しだが、記者会見したJAXA宇宙科学研究所の国中均所長は「計画した軌道をなぞることができており、実証できたと考えている」と述べた。
JAXAは今後、太陽の向きによって太陽電池が復活するのを待ち、搭載した分光カメラで月の地下のマントル由来の岩石の成分を分析し、月誕生の謎を探りたい考え。【田中韻】

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