自民党の派閥のパーティー収入不記載事件で、パーティー収入の一部などを政治資金収支報告書に記載しなかったとして、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で、19日に安倍派(清和政策研究会)、二階派(志帥会)、岸田派(宏池会)の3派閥の会計責任者と元会計責任者、議員2人や秘書らを刑事処分する。関係者への取材で分かった。
3派閥は所属議員にパーティー券の販売ノルマを課し、超過分やその一部を所属議員にキックバック(還流)。いずれの派閥も超過分の一部や全額を派閥の収支報告書に記載しておらず、一部の所属議員はノルマ超過分を派閥に納入せずに「中抜き」していた。
二階派と岸田派は、還流分については派閥と議員側の双方の収支報告書に記載していたが、安倍派はいずれも記載しておらず、所属する大半の議員側の関連団体で、平成30年~令和4年分の数万~数千万円分が不記載となっていた。
3派閥で、平成30年~令和4年の5年間で計8億円前後が裏金になった恐れがある。特捜部は、安倍派の会計責任者と二階派の元会計責任者は在宅起訴し、岸田派の元会計責任者は略式起訴とする見通し。
還流を受けた安倍派の谷川弥一衆院議員(82)は略式起訴、大野泰正参院議員(64)は在宅起訴し、ノルマ超過分を中抜きしていた二階俊博元幹事長の秘書は略式起訴するとみられる。
事件を巡っては、4千万円超を還流された安倍派衆院議員の池田佳隆容疑者(57)と政策担当秘書の柿沼和宏容疑者(45)が同法違反容疑で逮捕されている。