核兵器禁止条約は22日で発効から3年となった。これまで93カ国・地域が署名し、うち70カ国・地域が批准。2023年までに2度の締約国会議が開かれたが、日本は米国の「核の傘」の下で署名・批准をせず、会議に参加していない。この日、広島と長崎の被爆者らは、街頭活動や集会を通じ、日本政府に条約への署名・批准を強く求めた。
広島市中区の平和記念公園では、広島県内の被爆者7団体が日本政府に条約への署名・批准を迫るため、市民らに署名への協力を呼び掛けた。県原爆被害者団体協議会の箕牧智之(みまきとしゆき)理事長(81)は「核の傘はボロボロになっている。この破れた傘からたくさんの放射能が人類を覆っている」と現状を憂え、「日本とアメリカがともに条約を批准したら世界は大きく変わる」と訴えた。22日夕には市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」がキャンドル約1500本をともし、核兵器廃絶やパレスチナ自治区ガザ地区で続く戦闘の終結を願った。
長崎市では、長崎の被爆者4団体でつくる「核兵器禁止条約の会・長崎」が集会を開き、被爆者ら約120人が参加した。条約に加わらない日本政府に抗議し、条約への署名、批准を求めるアピールを採択した。
過去2回の締約国会議に出席した同会共同代表の被爆者、朝長(ともなが)万左男(まさお)さん(80)は「(23年の)第2回会議では、核兵器保有国の核抑止政策を批判する声が多かった。保有国を条約に引き込むための具体案が重要」と指摘。共同代表の被爆者、川野浩一さん(84)は「私たちに求められているのは、日本の参加を求める声を一段と強め、政府に迫ること」と訴えた。
日本原水爆被害者団体協議会(東京)もこの日、日本政府に条約への参加を求める声明を発表した。【安徳祐、根本佳奈、高橋広之】