大阪市北区の美容外科クリニックで昨年4月、脂肪吸引の手術を受けた男性=当時(48)=が死亡する事故があり、大阪府警は15日、術後に適切な措置を怠ったとして、業務上過失致死容疑で、クリニックに勤務していた男性医師(37)=東京都渋谷区=を書類送検した。検察に刑事処分の判断を委ねる「相当処分」の意見を付けた。容疑を否認しているという。
書類送検容疑は昨年4月29日、大阪市北区曽根崎新地のクリニックで、北九州市の男性に、やあごの脂肪吸引の手術を実施。その後、男性が首付近の出血や腫れがひかないことなどを訴えたにもかかわらず、救急要請をせずに適切な対応を怠り、翌30日、のどなどの内出血により窒息死させたとしている。医師は任意の聴取に「遠方にいる立場としてできることは病院に行くよう促すことだけだった」と説明したという。
府警によると、男性は帰宅後の29日夜から30日朝にかけて複数回、交流サイト(SNS)を通じて、医師に「首が締め付けられる」「呼吸が苦しくて目が覚める」といったメッセージや腫れた顔の写真を送信していた。
府警は専門医14人の意見を聞き、30日朝の段階で窒息死の恐れを把握できたと判断。救急要請をしていれば死亡を防げた可能性があったとしている。