北朝鮮による拉致被害者の家族会と支援組織「救う会」は25日、東京都内で合同会議を開き、親世代の家族が健在のうちに「全拉致被害者の即時一括帰国」が実現すれば、日本が北朝鮮に科している独自制裁の解除に反対しないとする新たな運動方針を決定した。
即時一括帰国を条件に「人道支援に反対しない」とした昨年2月の決定を維持しつつ、さらに踏み込んだ内容で、被害者の親世代が相次いで亡くなるなか日本政府と北朝鮮の双方に行動を促す狙いがある。
日本政府の独自制裁は、▽貨客船「 万景峰 号」を含む北朝鮮籍などの船舶の入港禁止▽北朝鮮との間の輸出入の禁止――などで、ぜいたく品の輸出などを禁じた国連安保理決議とは別物だ。
家族会代表で横田めぐみさん(拉致当時13歳)の弟の拓也さん(55)は会議後の記者会見で、「苦渋の判断をした。一刻も早く問題を解決し、(被害者を)家族の元に戻してあげたい」と語った。
家族会はかつて万景峰号の入港反対運動などを行ってきた。新たな方針では、親世代が健在のうちの即時一括帰国が実現しなかった場合、「強い怒りをもって独自制裁の強化を求める」と厳しい態度も示した。
会議には、めぐみさんの母・早紀江さん(88)と、有本恵子さん(拉致当時23歳)の父・明弘さん(95)ら約40人が出席。早紀江さんは記者会見で、「一番いい方法を考えてもらった。みんなが元気で帰ってくることを願っています」と述べた。