【速報】「ALS嘱託殺人」で被告の元医師の控訴を棄却 2審も懲役13年判決《遺体なき殺人》入院中の父親をウソの説明で退院させ殺害…遺骨はアフリカに 大阪高裁

知人医師や母親と共謀して父親を殺害したとして、1審で懲役13年を言い渡された元医師の男。判決を不服として控訴していましたが、大阪高裁は3月6日、控訴を棄却し、1審の懲役13年の判決を支持しました。 1審判決によりますと、元医師の山本直樹被告(46)は2011年3月、母親の山本淳子被告(79)や医師の大久保愉一被告(45)と共謀し、父親の靖さん(当時77)を何らかの方法で殺害しました。 3人の1審判決では、精神障害や歩行障害などがあった靖さんを直樹被告と淳子被告が疎ましく思っていたことや、直樹被告が大久保被告と殺害計画を練り上げ、それを淳子被告と共有していたことが認定されています。 (事実認定された計画)▽直樹被告と淳子被告が、当時靖さんが入院していた長野県内の病院に、「転院の手はずが整った」とウソの説明をして退院させる▽靖さんを新幹線で埼玉県の大宮駅まで運ぶ。移動中に直樹被告が靖さんに製剤を注入して鎮静状態にする▽大宮駅で大久保被告が合流。レンタカーで東京都内のアパート一室に運び、靖さんを殺害する▽死亡診断書を偽造し、死亡届も区役所に提出。遺体を火葬する ▼「『今年は大仕事』するのだ」殺害へ着々と準備 遺骨はアフリカに… 直樹被告と淳子被告のメールのやり取りでは、2人が靖さんの死を待望し、殺害に向けて着々と準備を進めたことが浮き彫りになっています。 事件前の2011年1月には、直樹被告は淳子被告に「『今年は大仕事』するのだ」とメールを送信。同じ月に淳子被告は「おさらばして貰うには、丁度よい年じゃ!!!」と直樹被告にメールを送りました。 また、同年3月に入ると直樹被告が淳子被告に、▽長野県の病院にどのようにしてウソの説明をするべきかを伝えたり、▽火葬場が土日も営業しているか(実際の犯行は土曜)を確認するよう指示したりしていました。 現場となったアパート一室は、直樹被告が犯行直前に約1か月の契約で借りたもので、淳子被告が犯行前日に下見。同じ日に淳子被告は、靖さん名義の口座から預金を全額引き出していました。 そして犯行当日、計画が実行され靖さんは死亡。その数日後に火葬されました。 事件の約3週間後に淳子被告は、直樹被告に「化け物よ。。サラバ!」「なおきが幸せな人生を送れるように邪魔をしにくるなよ!!」「もちろん、じゅんこもや!」などと記したメールを送信。 直樹被告はその後日本を出国し、アフリカのエスワティニ王国(当時の国名はスワジランド王国)で靖さんの遺骨を埋めました。 ▼“大久保被告が単独で殺害”を主張も…1審で懲役13年の判決 1審で直樹被告は、殺害計画を立てた点はおおむね認めた上で、「犯行当日に計画中止を決意し、アパート一室に靖さんを運んだ後、車の中で大久保被告を説得した」「先に大久保被告が室内に戻り、その後自分も戻ると、大久保被告が何らかの方法で靖さんを殺害していた」と主張しました。 しかし京都地裁は去年2月の判決で、「大久保被告が独断で犯行に及んだというのはあまりにも不自然・不合理」「事件後のメールのやり取りを見ても、大久保被告が殺害したことへの非難や、靖さんが殺されたことへの後悔はうかがえない」として、直樹被告の主張は信用できないと断定。 「計画の完遂に不可欠な役割を主体的・主導的に果たした」「動機や経緯に同情の余地もあり、全く身勝手な理由の殺人と同列には扱えないが、典型的な介護殺人とは明らかに異なる」として、直樹被告に懲役13年を言い渡しました。 直樹被告側は、この判決を不服として控訴していました。 ▼大阪高裁は1審判決を全面的に支持 控訴を棄却 被告は時折首をかしげるような場面も… 大阪高裁(長井秀典裁判長)は3月6日の判決で、大久保被告が単独で殺害したという旨の直樹被告の主張は、極めて不自然で信用できないと改めて断じました。その上で、量刑不当の訴えについても「大久保被告とともに医師としての知識・経験・立場を共に検討と準備を重ね、母親とも役割を分担し殺害を実行した。長年にわたり発覚しなかったことは、まさに計画が極めて巧妙だったことの表れだ」などとして、悪質性や果たした役割の大きさの面でも、1審の判断に誤りはないと断定。1審判決を全面的に支持し、控訴を棄却しました。直樹被告は判決言い渡しの間、時折首をかしげるような場面や、腕を組んで聴いている場面もありました。裁判長が、不服がある場合は最高裁に上告できる旨を説明した際、直樹被告はうなずくような仕草を見せました。

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