関連死を含む死者・行方不明者が2万2222人に上った東日本大震災から11日、13年を迎えた。国内観測史上最大となるマグニチュード9・0の地震が発生した午後2時46分、各地で多くの人たちが犠牲者を悼んだ。1月1日に能登半島地震が起きたことから、日ごろの備えの大切さもかみしめた。
宮城県石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園であった市主催の追悼式で、市職員の阿部智美さん(44)は遺族代表として慰霊碑に献花した。同居していた明るく優しい母久子さん(当時58歳)を津波で亡くした。
復興は確かに進んだと思う。だが、人々の記憶が薄れているようにも感じる。「震災を知らない新しい世代が増えている。石巻でこれだけ大きな災害があったことを後世に伝えていかなければ」と話し、二度と同じ悲劇を繰り返さないための決意を新たにした。
福島県楢葉、広野両町にまたがるサッカー施設「Jヴィレッジ」では、復興イベントが開かれた。参加した双葉町出身で同町観光協会職員の紺野朱里(あかり)さん(25)は東京電力福島第1原発事故によって町に住むことができなくなった。
家族6人で避難先を転々とし、今はいわき市に新しく建てた家に住む。実家もそのまま残るが、「いつか帰れる日が来たらいいなと思うけど、現実的には無理かも」と考えるようになった。それでも古里を忘れたくないとの思いから、「観光協会という町の復興を見守る最前線から古里を見つめ続けたい」と意気込みを語った。
死者・行方不明者2万2222人のうち、警察庁と復興庁によると、3月1日現在、死者は1万5900人、行方不明者は2520人。2023年12月末現在、震災関連死は3802人。
原発事故による帰還困難区域は今も福島県7市町村に約310平方キロ残っている。復興庁や福島県によると、避難者は2月1日現在、2万9328人で、うち9割を福島県の避難者が占める。【安藤いく子、遠藤大志、柿沼秀行】