世界的に流行しているはしか(麻疹)について、国内でも感染が広がる懸念が強まってきた。11日には東京都内で20代女性の感染が確認され、東京都や厚生労働省はワクチン接種による予防を呼び掛けている。世界保健機関(WHO)は2月20日、世界の半数以上の国々が今年がの流行リスクに直面しており、緊急に予防対策を講じるよう警告していた。
東京都保健医療局によると、この女性は、すでに8人の感染が確認されている2月24日にアラブ首長国連邦(UAE)から関西空港に到着した航空機に搭乗していた。
女性は3月7日、新大阪駅を午後1時45分に出発した東海道新幹線「のぞみ」24号の6号車に乗って品川駅に到着。その後、午後9時から東京・銀座の飲食店で約2時間過ごし、ホテルに宿泊。翌日に発疹と38度の発熱があり、都内の医療機関を受診したところ、陽性が確認されたという。
武見敬三厚労相は8日の記者会見で、国内でのはしかの感染が確認されたことを受け、「はしかは感染力が非常に強く、先進国でも1000人に1人は死亡するといわれ、注意が必要だ」と強調。「今後さらに感染が広がる可能性がある」と懸念を示した。
WHOによると、ロシアや中央アジアを含む欧州地域での感染報告数は2022年の937人に対し23年は5万8千人を超えた。感染者急増の理由について、新型コロナウイルス流行時に、はしかのワクチン接種率が下がったことが原因と分析している。
厚生労働省などによると、はしかは麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症で、空気や飛沫、接触により感染。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続するといわれている。感染すると、約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れ、2、3日熱が続いた後、39度以上の高熱と発疹が現れる。感染による合併症として肺炎や脳炎が引き起こされて重症化し、死亡するケースもある。