4万件ツイート、裸の写真も…罷免判決の判事 最高裁「遺憾」

ネット交流サービス(SNS)への投稿で殺人事件の遺族を傷つけたとして訴追された仙台高裁の岡口基一判事(58)=職務停止中=に対し、国会の裁判官弾劾裁判所(裁判長・船田元衆院議員)は3日、罷免とする判決を言い渡した。罷免判決は2013年以来で、戦後8人目。SNSの投稿を巡って裁判官の罷免の可否が争われた初のケースだった。
8年間で4万件のツイート、裸や下着姿も
裁判官弾劾裁判所で罷免判決を言い渡された仙台高裁の岡口基一判事(58)は、ネット交流サービス(SNS)で過激な投稿を繰り返し、物議を醸してきたが、法曹界では実務に通じた民事裁判官としてその名を知られる存在でもあった。
岡口判事は東京大を卒業し、1994年に任官。民事裁判官の経験が長く、裁判実務について記した著書は「知らない弁護士はいない」と称され、多くの法曹関係者に支持されている。
そんな岡口判事が法律情報を伝える目的でツイッター(現X)を始めたのは2008年のこと。その後の約8年間で約4万件のツイートをしたが、「面白いと思われる投稿をしたい」と一部が過激化し、裸や下着姿の写真も約30件投稿した。フォロワーは18年時点で約4万人に上った。
3日の判決では主文の言い渡しが後回しにされ、理由の朗読から始まった。岡口判事は背筋を伸ばして聞いた。弁護団によると、言い渡し後も特に不満や感想を語ることはなかったという。岡口判事のXアカウントには「裁判、ダメでした」と投稿された。
判決後に記者会見した弁護団の野間啓弁護士は「差別的な発言や虚偽の事実を流布するという、SNSの危うさが影響したケースではない。『SNSを使っているから悪いよね』という感情、感覚に基づいた極めて乱暴な判決だ」と強調した。
裁判官弾劾裁判所主任裁判員の階猛衆院議員は判決後、「SNSによる中傷で自殺者も出ている中、悪質性が重いと判断した」と述べた。
最高裁は「裁判官が罷免の判決を受けたことは誠に遺憾。改めて職責の重さを自覚し、国民の信頼に応えていくよう努めたい」とのコメントを出した。【巽賢司、井口慎太郎】

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