出会ったばかりで名前も知らない容疑者ら…緩い結びつき、ちらつくカネ 那須2遺体事件

栃木県那須町で会社役員の宝島龍太郎さん(55)夫妻の遺体が見つかった事件で、警視庁・栃木県警合同捜査本部は1日、死体損壊容疑で実行役とみられる、いずれも住所、職業不詳、姜光紀(カングァンギ)容疑者(20)=韓国籍=と若山耀人(きらと)容疑者(20)を逮捕した。捜査本部は2人の認否を明らかにしていない。事件を巡る逮捕者は4人となった。
これまでの調べで浮かびあがったのが「店で出会った」という指示役と実行役が互いに本名さえ知らない希薄な人間関係の中で、残忍な事件に突き進んだ異様な構図だ。
「去年の暮れか年明けに知り合った」。1日に実行役として逮捕された姜容疑者と若山容疑者について、遺体の遺棄場所などを指示していた平山綾拳容疑者はこう供述しているという。
平山容疑者は、2人を「カン」「キラト」と呼んでいた。
捜査幹部は「カンというのが名字だと分からず最初は愛称なのかと思った」という。平山容疑者はフルネームを知らず何回か酒を飲んだ程度の関係だと供述。なぜこの2人に遺体の処理を任せたのか首をかしげる捜査員も少なくない。
関係の希薄さは指示役同士も変わらない。佐々木光容疑者は、自身が遺体の処理を持ちかけた平山容疑者について「2、3月に渋谷の店で知り合った」と説明。「リョウケン」「ヒカル」と呼び合うだけで、詳しい素性は知らなかったとされる。
緩い結びつきには〝カネ〟もちらつく。
佐々木容疑者と平山容疑者は報酬の受け渡しがあったと供述。平山容疑者は遺体発見数時間前の4月16日未明、居酒屋で佐々木容疑者から1千数百万円を手渡され、姜、若山の両容疑者にも分配したと説明。平山容疑者の関係先からは、1千万円近い現金が見つかっていたことも判明した。
最大の存在は一連の事件を依頼したとみられる上位者だ。佐々木容疑者は4月初旬、自身より上位の人間からの「処理を頼む」という電話を皮切りに指示を受け始めたと供述。宝島さん夫妻失跡には第三者の計画的な介在が疑われる。
ただ、佐々木容疑者はその上位者の素性について一切話していない。(内田優作、前島沙紀)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする