【サンパウロ共同】岸田文雄首相は4日午後(日本時間5日未明)、ブラジルの最大都市サンパウロで中南米政策をテーマに演説した。中南米が国際社会の課題に貢献できる潜在力を有しているとして、世界を協調へ導くために日本との連携を訴えた。中南米で影響力を強める中国を念頭に「特定の行動を強いる経済的威圧は到底認められない」と批判した。
中南米は、日米欧と一定の距離を置く「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国と位置付けられる。首相は法の支配に基づく国際秩序や信頼のある経済関係の重要性について理解を得たい考えだ。
首相は演説で、今年はブラジルが20カ国・地域(G20)、ペルーがアジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長国を務めると言及し「今こそわれわれが手を携え、どのように世界を共に築いていくのか語る最良の時だ」と強調した。
中国が途上国を借金漬けにして支配を強める「債務のわな」に触れた上で「日本は相手国の実情を踏まえ、持続可能な経済協力を推進していく」と言明。日本企業の進出を後押しし、新規産業の創出や質の高い雇用を生み出すことで格差や貧困解消に貢献する考えを示した。