「大罪人」「検察なめんなよ」…証人尋問で取り調べの録音再生、国賠訴訟で検事が非を認める

学校法人の土地売却を巡る横領事件で大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、無罪が確定した不動産開発会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍元社長(61)が、違法捜査があったとして国に損害賠償を求めた訴訟で、捜査を担当した検事の証人尋問が11日、大阪地裁(小田真治裁判長)であった。検事は、同社元部長(有罪確定)の取り調べで「大罪人」「検察なめんなよ」などと発言したことについて「言葉に不穏当なものがあった」と非を認めた。
山岸元社長は元部長らと共謀して土地の手付金21億円を横領した罪に問われたが、2021年10月の地裁判決は捜査段階で元社長の関与を認めた元部長の供述の信用性を否定。「(元部長に)必要以上に強く責任を感じさせ、虚偽の証言をさせた」と取り調べを問題視し、元社長を無罪とした。
訴訟では、捜査に関わった検事4人の証人尋問が採用され、この日は元部長の取り調べを担当した田渕大輔検事(現・東京高検)ら2人が出廷。尋問に先立ち、取り調べの録音・録画データの一部が法廷で再生され、田渕検事が元部長に「あなたは会社の評判をおとしめた大罪人」「損害は10億、20億じゃ済まない。それを背負う覚悟で話をしているか」と迫る映像が流された。
田渕検事は、取り調べで机をたたき、「検察なめんなよ」と言ったことを認め、「(元部長は)うそを平然と言っていた。取り調べに 真摯 に向き合ってほしかった」と説明。「大罪人」と発言した理由は「言葉の重みを自覚させるためだった」と釈明した。
元社長側の代理人弁護士から「取り調べに反省はないのか」と問われると、田渕検事は「言葉に不穏当なものがあった。全く非がないとは思っていない」と述べた。今後も同じような取り調べをするかとの質問には、「まずしないと思う」と答えた。

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