伊勢海老にアワビ、天然記念物のヤドカリまで――。今、日本各地の海では、中国人による密漁・乱獲が止まらない。行政や漁業関係者が頭を悩ませるなか、さらにその方向性が「進化」しているという。最新の手口と流通ルートを追った。 ◆観光客さえSNSで密漁を堂々投稿 近年深刻化する中国人による密漁は在日中国人のみならず、中国人観光客によっても行われている。しかも、密漁者たちは中国語で漁を意味する「赶海」(ガンハイ)というハッシュタグとともに、漁果を堂々とSNSで自慢する始末。 そして昨今、その趨勢に変化がみられるという。中国事情に詳しいライターは語る。 「日本で散々報道されたせいか、漁業権のない区域を狙うなどしているようです。その代わり、獲物が高級化している傾向があります」 いわば「密漁3.0」といった状況なのだ。 ◆警戒をしつつも、高級魚介類に手を伸ばす! 実際、中国版インスタグラム「小紅書」では伊勢海老やナマコ、アワビなどが投稿される例が目立ち始めている一方、慎重さも増している様子だ。 神奈川県内で民泊を運営する中国人アカウントは「鎌倉で収穫」と題し、同市内の海岸で収穫したと見られる大量のアワビの写真を掲載。鎌倉市沿岸一帯は漁業権が設定されているため、密漁が疑われる。 また、このアカウントは宿泊客だけに採取場所を教えているようで、予約の際は電話で中国人かどうか確認するほどである。 そのような状況下で記者が訪れたのは新浦安。再開発によりアメリカ西海岸を思わせるオシャレな街へと変貌を遂げている一方、海岸線の堤防には、中国語で立ち入り禁止の標識がいたるところに掲示されている。 彼らの目当てはマテ貝やイシガニ、高級品としても流通しているガザミ(ワタリガニ)だという。 ◆地元小学生の傍ら、子連れで密漁に勤しむ中国人 近隣住民は話す。 「中国人が進入禁止のフェンスを乗り越え海産物を採っています。漁業権がないことを逆手に取っているようです」 よく現れるのは、市営の「浦安墓地公園」の裏手に広がる浦安三番瀬海岸だという。 干潮となった午前10時半ごろ、記者がフェンス越しに海岸を覗くと、複数の中国人が消波ブロックを乗り越えて歩いているのが見えた。彼らは網やバケツを手に消波ブロックや石の間に糸をたらし、何かを探している様子だ。 女性が中国語で「カニがいる」と叫んで仲間を呼び、手に持ったトングでカニを採っている。彼らが持っている網には、すでにたくさんの貝が入っていた。