無罪確定の元社長に検事からの謝罪なし 証人尋問を終えて元社長「被疑者に本当のことを話せと言うのに、なぜ彼らは本当のことをしゃべらないのか」

冤罪だった元社長に検事からの“謝罪”は最後までありませんでした。 「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん(61)は、学校法人の土地取引などをめぐる巨額横領事件に関与したとして大阪地検特捜部に逮捕・起訴されましたが、3年前の2021年に無罪が確定。国に賠償を求める裁判を起こしています。 裁判では当時取り調べをした特捜部検事らが出廷。6月18日、主任検事は山岸さんの無罪判決についてこう述べました。 (当時の主任検事)「証拠や事実関係に照らして有罪判決が得られると判断して(山岸さんを)起訴したが、結果として無罪判決が出たことは真摯に受け止めています」 真摯に受け止めるとは述べたものの、山岸さんへの謝罪は最後までありませんでした。 今回の証人尋問では特捜部の取り調べ映像が法廷で公開されるという極めて異例の措置も取られました。映っていたのは、山岸さんの当時の部下への取り調べ。特捜部の狙いは、山岸さんが事件に関与したという供述を引き出すことでした。 【法廷で公開された取り調べの映像より】 「あなたの場合、いきなり学校法人への貸し付けだという前提で話をしているように聞こえるのね。それって、普通の人がとる行為としてはおかしいでしょ。はな(最初)からあなたは、社長をだましにかかっていったということになるんだけど、そんなことする、普通?それ、なんか理由あります?自分の手柄がほしいがあまりですか?そうだとしたら、あなたはプレサンスの評判を貶めた大罪人ですよ」 「大罪人」などの強い言葉で心理的に追い詰めていく検事。 【法廷で公開された取り調べの映像より】 「会社(プレサンス社)がいろんな営業損害を受けたとか、株価が下がったとかっていうことを受けたとしたら、あなたはその損害、賠償できます?10億、20億じゃ済まないですよね?それを背負う覚悟で今、話をしてますか?だからあなたが、あなたの顔が、穏やかになりきってないって見えるんですよ。見えるんですよ、見てわかるんですよ。まただんだん悪い顔になってきてるよ」 この取り調べの後、部下は山岸さんが事件に関与したという供述を行い、検察はその供述を立証の柱にしたのです。 しかし、裁判所はこの取り調べを問題視。山岸さんに無罪を言い渡しました。 供述の信用性を否定された担当検事。しかし、先週の証人尋問では次のようなやり取りがありました。 (当時の主任検事)「(山岸さんの無罪判決は)非常に残念な判決だと思いました」 (山岸さんの代理人)「あなたは山岸さんが本当は有罪だと思っているんですか?」 (当時の主任検事)「…それは立場上、お答えを差し控えさせていただきます」 3日間の証人尋問を終えて山岸さんは…。 (プレサンスコーポレーション元社長 山岸忍さん)「彼らは日ごろの仕事で、被疑者や被告人に対して本当のことをしゃべれと言っているのに、なぜ自分は本当のことをしゃべらないのか。こちらが被疑者の時に本当のことをしゃべったら間違っていると恫喝するわけですよね、彼らは。はっきり言ってメチャクチャですよね」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする