元日、正月休みで帰省した家族のだんらんを襲った能登半島地震は、7月1日で発生から半年を迎えた。それなのに石川・能登の街では、倒壊した家のがれきなど地震直後と変わらない風景があちこちに残る。県内の避難所では今も、約2200人の被災者が自宅に戻れずにいる。
内閣府などによると、6月25日時点で石川県で8053棟、富山県で247棟、新潟県で106棟が全壊するなど、5県の12万5976棟の家屋で被害が確認された。
このため、石川県の輪島市や珠洲(すず)市など県内の9市町では6810戸の仮設住宅の希望があり、6月27日までに4943戸(約7割)が完成した。県は「8月中には、必要な戸数の全てを完成させる」という見通しを示している。
一方、県内では倒壊した建物などのがれきの撤去が進んでいない。
自治体への解体工事の申請は6月24日までに2万865棟分あったが、工事が始められたのは2601棟にとどまる。うち工事が終わったのは911棟に過ぎない。
被災した市町が設置した避難所は27日時点でも69カ所残っていて、1038人が避難生活を強いられている。県が金沢市などの宿泊施設を借りて、避難所として活用している「2次避難所」127カ所でも1222人が過ごしている。
16市町で一時約11万戸で生じていた断水について、県は早期の復旧が難しい珠洲市の970戸と輪島市の501戸を除いては解消したとしている。
ただ、解消といっても水道管の本管の修復工事が終わっただけ。本管から家や施設につながる配管は公共の設備ではないので、各自で修理する必要がある。水道業者が見つからず、断水が解消したとする地域でも水が使えない所は多い。
今回の地震は、元日の午後4時10分に起きた。震源地は能登地方で、地震の規模を示すマグニチュードは7・6。石川県の輪島市と志賀町で震度7、新潟県長岡市などで震度6弱、富山市や福井県あわら市などで震度5強を観測するなど、各地で強く揺れた。
その影響で、石川県内では281人(うち災害関連死52人)が死亡。死者数は、2016年の熊本地震(276人、うち関連死226人)を上回った。
毎日新聞が石川県内の関係市町に取材したところ、関連死の申請件数は認定済みの分も含めても、約200件に上った。このため、死者数は今後さらに増える見通しだ。