津田塾大学には五輪金メダリストが登場 20年ぶり新紙幣、偉人3人のゆかりの地が大フィーバー

日銀は3日、約20年ぶりにデザインを刷新した紙幣を発行した。発行初日は日銀から金融機関に1兆6000億円分(計2億8000万枚)を引き渡した。1万円札の肖像は福沢諭吉から「日本の資本主義の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一に交代。5000円札は津田梅子、1000円札は北里柴三郎に変更された。3人の「ゆかりの地」ではイベントが行われるなど盛り上がりをみせた。銀行窓口やATMでは新紙幣を入手しようと長い列ができた。
新紙幣“初日”。日銀の本店と支店では通常より1時間早い午前8時過ぎから引き渡しが始まり、金融機関の現金輸送車に新紙幣が次々と積み込まれた。
三菱UFJ銀行本店(東京都千代田区)には100人を超える人が行列を作った。みずほ銀行兜町支店(同中央区)には午前10時ごろ新紙幣が到着。近くで会社を経営する平行秀さん(35)は「(まだ)違和感がある。海外のお金みたいですね」と話した。
新1万円札の肖像となった渋沢栄一の出身地である埼玉県深谷市。2日深夜から3日にかけて、新紙幣の発行を祝うカウントダウンイベントが開かれ、市民ら約1800人が集まった。かけ声とともに3日午前0時を迎えると、会場は歓声と拍手に包まれた。
同市立上柴西小では朝の全校集会で、くす玉を割り、万歳三唱。駅前にはのぼり旗が掲げられた。埼玉りそな銀行深谷支店は1億円分の新1万円札を一部の客に公開。束を実際に抱えてみたり、記念撮影をする催しを実施した。
夕方には市役所の駐車場でビアフェスが開かれた。男性(71)は「地元の偉人が紙幣になった日に飲むビールは最高においしい」と笑顔。14日には同市内でパレードが開かれる予定で、「渋沢フィーバー」が続く。
新5000円札の津田梅子が設立した津田塾大学は、新紙幣発行記念イベントを都内で開催。女子レスリング五輪金メダリストの登坂絵莉さん(30)、元サッカー女子日本代表の岩渕真奈さん(31)が出席した。登坂さんはトークショーで「津田さんが6歳から留学し、信念を持って活動されていたのには驚いた。自分も女性として頑張るぞと勇気づけられた」と熱弁をふるった。
同大(小平市)の生活協同組合内には「5000円札タオル」など津田のグッズコーナーが設置された。「晴れ舞台を祝って盛り上げたい」と肖像やイラストをあしらったメモ帳やしおりなどが並んだ。
1000円札に使用された北里柴三郎の故郷の熊本・小国町は、同町の北里柴三郎記念館で式典を開いた。新旧の紙幣を交換するイベントでは、長蛇の列ができた。登壇したひ孫の北里英郎館長は、男気にあふれ、豪快だったという柴三郎の人柄に触れつつ、業績を紹介。アルバイト・北里康二さん(68)は「郷土の誇りだ」と声を弾ませた。肥後銀行(熊本市)でも新旧紙幣の交換イベントを実施した。
前回の紙幣刷新は2004年11月1日。発行開始から1年で流通する紙幣の約6割が新紙幣に入れ替わった。

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