歩道橋事故以降は実施されず、明石の花火大会再開を模索…市民からは「子供たちの思い出に」「郷土愛育みたい」

兵庫県明石市は、2001年7月に夏まつり花火大会の見物に訪れた11人が死亡した歩道橋事故の後、実施されていない市内での花火大会の実現可能性について、今年度から調査研究を始めている。市民団体による請願が昨年度の市議会で採択されたためで、市はコンサルタントへの委託に向け、調査手法を検討している。
市民団体は商工業者らでつくる「明石あんしんプロジェクト推進委員会」。市民から「花火を子供たちの思い出にして、郷土愛を育みたい」との声が上がっているという。メンバーの安原宏樹・市商店街連合会長(52)は「人が密集しないよう、会場や期日を分けて開催することはできると思う。身の丈に合ったあり方を考えてにぎわいと両立させたい」と話す。
昨年11月には、市内の3か所で計200発を打ち上げる小規模の催しを実施。トラブルはなかったとして、市に調査研究を求める請願を市議会に提出した。同12月の市議会では「事故は遠い昔の出来事ではない」との反対もあったが、「多様な意見を取り入れるべきだ」などの声が広がり、賛成多数で可決された。
遺族の一人は「市内での開催は困難だと思うが、検討するなら、再開を求める人や懸念を持つ人らが意見をぶつけられる場をつくるべきだ」と語る。
市の吉田貴之広報部長は「花火の実施について、市はニュートラルな立場。多くの人に理解が得られるような調査手法を検討している」としている。
歩道橋事故は01年7月21日、夏まつり花火大会の会場だった大蔵海岸と、最寄りのJR朝霧駅を結ぶ歩道橋で発生。見物客らが折り重なって倒れ、10歳未満の子ども9人と高齢者2人が死亡、183人が重軽傷を負った。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする