トンネルに大量の湧水、壁の亀裂から土砂も…「復旧は年単位の可能性」原因分からず 鹿児島・北薩トンネル

北薩横断道路の北薩トンネルで、地面から水が湧き出て路面が浮き上がり、トンネル周辺は今月25日から通行止めとなっています。その後も影響は広がり、鹿児島県は、復旧が年単位に及ぶ可能性があるとしています。
出水市とさつま町にまたがる北薩横断道路の北薩トンネルでは、今月25日に地面から水が湧き出し、路面が浮き上がっているのが確認されました。
県によりますと、その後、範囲が全長100メートルに広がり、壁面に亀裂が入って土砂の流入も起きています。
県が提供した画像では、トンネルの壁面が大きく崩れています。黒い穴が開いて、滝のように水が流れ落ちているのが確認できます。衝撃でトンネル内の道路に沿っフェンスも壊れています。
別の画像では、流れ込んだ土砂によって、トンネルがほぼふさがれているような状態になっているのが確認できます。トンネルの高さまで土砂が埋め、右上にわずかな隙間が見えるばかりです。
北薩トンネルは、2018年に供用が始まりました。全長4850メートルで県内で最も長いトンネルです。北薩トンネルがある北薩横断道路は、鹿児島空港と県北部の阿久根市を結ぶため、県が順次整備を進めている道路です。
2018年からすでに一般の利用が始まっていた北薩トンネルで起きた土砂の流入によって、北薩横断道路は高尾野インターとさつま泊野インターの間で通行止めが続いています。
県は28日に会見を開き、復旧が年単位におよぶ可能性を示しました。
(県道路維持課・塩屋勝久課長)「建設当時からトンネル内の湧水が多かった」「湧水の原因はこれから。専門家のアドバイスで究明する。1年で復旧は難しいかもしれない」
トンネルで湧き出した水からは、自然由来の微量のヒ素も検出されていますが、県が近くの川の下流で検査した結果、農業などに影響のない水準だということです。
復旧が年単位に及ぶ可能性が浮上する中、北薩横断道路を利用する運送業者からは、影響の長期化を懸念する声が出始めています。
大隅半島などの養殖業者に飼料などを運ぶ、県北西部に位置する長島町の運輸会社では…。
(運輸業者)「北薩横断道路がないと不便。ガソリン代が高いので影響が出てきて困っている。晴れた日でも道路に水が流れているなというのが気になっていた」
復旧の見通しが立たない中、県は国に要請し、30日に専門家による現地調査を行う予定です。

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