衆院安全保障委員会は30日午前、防衛省の一連の不祥事を巡って閉会中審査を行った。海上自衛隊の潜水手当不正受給問題で警務隊(自衛隊の捜査機関)が4人を逮捕した事実が公表されなかったことに関し、木原防衛相は「今後は警務隊が逮捕した場合、全て大臣に報告するよう制度を改善し、可能な限り速やかに公表する」と述べた。
警務隊による逮捕は昨年11月だったが、その時点では公表されず、海自の海上幕僚監部や防衛省の人事教育局が今月12日に一連の不祥事を対外的に明らかにした際にも、逮捕の事実は公表されなかった。
木原氏は「海自と人事教育局との間で逮捕の事実は共有されていたが、同局が適切な判断を行わず、私に報告しなかった」と説明。報告の必要性に関する認識が同局に欠けていたことが理由だとして「 隠蔽 する意図はなかった」とした。報告の遅れについては「文民統制の観点から問題があった」との認識を示した。
今月5日に同局が不祥事に伴う懲戒処分の内容などを木原氏に報告した際、資料の注釈には逮捕に関する記載があったが、口頭での説明はなかった。木原氏は「説明の際に私は逮捕の事実について認知しなかった。一端の責任はある」とした。そのうえで「岸田首相からはリーダーシップをとって組織を立て直すよう指示されている」と述べ、辞任を否定した。
海自で安全保障上の機密情報「特定秘密」が不正に扱われていた問題では、「秘密文書の閲覧登録一元管理など、情報保全の総合的なシステムを段階的に導入していく」とした。
30日午後には、参院外交防衛委員会でも閉会中審査が開かれる。
一方、参院は同日午前、情報監視審査会(有村治子会長)を開き、情報保全体制の改善を防衛相に求める勧告を尾辻参院議長に提出した。