兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発した文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)を懲戒処分した問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が、公益通報の保護対象ではないと判断した県の対応について、百条委で議論する方針であることが9日、関係者への取材で分かった。公益通報制度に詳しい有識者に出頭を求めるとしており、同日の百条委理事会で協議する。
百条委では、これまで公益通報に関する県の対応について詳しく検証する予定はなかった。
斎藤氏は7日の定例会見で自身の疑惑を告発する文書を作成した男性を内部調査で懲戒処分とした対応を「適切だった」と述べ、改めて正当性を主張。弁護士の意見も踏まえ、「文書には裏付ける証拠や信用性の高い供述がない」として公益通報の保護要件には該当しないとの見解を示していた。一方で、斎藤氏が内部調査を指示した3月21日の時点で、公益通報との認識はなかったとも述べている。
斎藤氏は会見で、男性が県の3月25日の聞き取りに「うわさ話を集めて作成した」と供述したと強調。ただ、男性との詳細なやり取りについては明かさなかった。男性は同日の聞き取りについて生前、自分1人で作成したことなどを伝えたのみで、情報の入手経路などは聞かれていないと訴え、県側の説明と食い違っている。百条委は、これまでの県や斎藤氏の対応を疑問視し、百条委での議論が必要と判断したとみられる。
男性は3月12日、告発文書を報道機関や県議会などに配った。斎藤氏は同27日の定例会見で文書について「八百」と断言し、同月末に控えた男性の退職を保留。県は内部調査の結果、5月7日に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
一方、男性は文書配布後に県の公益通報窓口にも通報。公益通報者保護法は報道機関などへの通報も保護対象と認めているが、第三者による調査を前に懲戒処分としたことや、男性が7月7日に死亡したことで、斎藤氏らの対応に批判が集まっていた。