南海トラフ地震の虚偽情報続々、政府が注意喚起 過去の災害時にもデマが流布

南海トラフ巨大地震の注意情報発表を受け、政府は虚偽情報が拡散される恐れがあるとして、注意を呼び掛けている。岸田文雄首相は8日夜、「無用の混乱を避けるため、いわゆる偽情報の拡散などは絶対に行わないようにしていただきたい」と強調。林芳正官房長官も9日の記者会見で、「災害の発生時には不安をあおる根拠のないデマが流布する可能性もある。政府として正確な情報を発信する。不確かな情報に惑わされないようお願いする」と呼びかけた。
すでにX(旧ツイッター)では注意喚起を装いながら、画像をクリックするとアダルトサイトなど、迷惑サイトに誘導する投稿が出ている。8日の地震について、「人工地震」とする根拠のない投稿もみられた。
虚偽情報が出回る背景には、災害時にSNSの活用が進んだことがある。また、閲覧数に応じた広告収入を得るため、虚偽情報の投稿が増えていることが考えられる。
災害時の虚偽情報としては今年1月1日に発生した能登半島地震で、SNS上で実在しない住所や、東日本大震災時の津波の映像を引用し、避難や支援金を呼びかける悪質な虚偽情報が拡散され、救助活動や復旧活動に支障が出た。
また平成28年4月の熊本地震では、動物園から逃げたとされるライオンが道路を歩く写真がツイッター(当時)に投稿され、瞬く間に数万人がリツイート(転載)した。熊本市動植物園には問い合わせの電話が殺到し、投稿した男は偽計業務妨害の疑いで摘発された。
30年7月の西日本豪雨でも「レスキュー隊や自衛隊に似た服を着た泥棒がいる」などのデマが拡散し、自治体への問い合わせが相次いだ。最近では令和4年9月、台風15号による記録的大雨被害を巡り、人工知能(AI)技術を使って静岡県内の街が水没しているように見える虚偽の画像が作成され、SNS上で拡散された。
SNSの利用者も虚偽情報に惑わされないため、投稿をうのみにせず、公共機関の情報と照合するなど、冷静な対応が求められる。

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