太平洋戦争末期に浮上した旧日本陸軍と海軍の統合問題に関し、米内光政・海軍大臣が昭和天皇から意見を聞かれた際に「戦局が良くないから陸海軍を合併するというのは利とするところはありません」と否定していたことが11日、分かった。海軍の極秘資料が防衛省防衛研究所に保管されていた。昭和天皇の生涯をまとめた「昭和天皇実録」には接見概要が記されているが、発言内容の詳細は不明だった。
陸海軍の足並みの乱れはこれまでも指摘されており、米内の発言は双方の対立を明確に裏付けている。専門家は「戦争末期の危機的な状況下で、組織の論理を優先し陸海軍の対立が続いていたことが分かる。貴重な原資料だ」と語った。
日本軍は大本営の下で陸軍と海軍が個別に作戦を指揮し、主に陸軍が統合を主張。米軍など連合国軍との本土決戦に備え、限られた物資や作戦を一元化しようとする狙いがあったとされる。
資料は1945年3月4日付。昭和天皇との前日の会話を米内が海軍の担当者に説明し、まとめさせた。