広島土砂災害 大きな被害を生んだ要因を砂防学の専門家が解説

77人の犠牲者を出した広島土砂災害について、砂防学が専門の広島大学防災・減災センターの海堀正博教授が解説します。
改めて10年前の災害の被害を整理します。
死者77人で安佐南区・安佐北区の狭い範囲に被害が集中しました。
このときの雨の降り方が「線状降水帯」という言葉で説明されましたが、その線状降水帯の図を重ねると、被災したところと重なります。
その線状降水帯の下で降った雨は、非常に激しかったです。
地盤が緩み、午前3時から4時の激しい雨が引き金になり、土石流などが一気に起きたのが当時の状況です。
線状降水帯によって被害が拡大した要因が3つに分けられます。
まず1つが居住地。
山際に多くの人が住んでいた。傾斜の急なところに多くの人が住んでいました。
2つ目が地質。
広島はもともと花崗岩質が風化してすぐに崩れるのが注目されていますが、それ以外の地質のところも風化して強度が低下していました。
3つ目が「人々の意識」です。
簡単に崩れる、簡単に流れ下るところに人々が住んでいるにも関わらず、災害に遭ったことのない人の心理として、もし崩れるとしたら、あるいは土石流に襲われるとしたら、「自分のところではなくあちらの方の人たちだ」との心境に陥りやすいんです。
そういう心理になるがゆえに、自分のところは「いままで起きたことがないんだから、今回も起きないはずだと思いたい」わけです。
これが「正常化バイアス」なんです。
【2024年8月20日放送】

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