「処分ありき」「早期処分の意図」と百条委指摘 斎藤知事、文書把握2日後にメール調査開始

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、斎藤氏が文書の存在を把握した2日後に、県の人事当局が告発者を含む複数人の電子メールを調べ始めていたことが24日、分かった。23日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で県職員が証言した。告発者の処分案を審議する会議で、3人の県幹部が早期の処分に否定的な見解を示していたことも判明。だが受け入れられず、百条委委員からは「処分ありきの調査だった疑いが強まった」との指摘が上がっている。
文書は県西播磨県民局長だった男性(60)が3月12日付で、斎藤氏のパワハラなど7つの疑惑を記載して報道機関などに配布。斎藤氏は同月20日に文書の存在を把握し、翌21日に片山安孝副知事(当時)らに調査を指示したと説明している。
百条委の奥谷謙一委員長や関係者らによると、今月23日の非公開の証人尋問で、出席した職員は「3月22、23日に人事課が、処分のために男性を含む複数の職員のメールの調査を始めた」という趣旨の証言をした。尋問後に会見した奥谷委員長は「文書内容を調査する意図は最初からなく、作成者を早く特定し、処分する意図を感じた」と述べた。
こうした調査を経て、斎藤氏は男性が文書の作成者と特定。3月27日に県民局長を解任し、5月7日に停職3カ月の懲戒処分とした。
一方、処分を巡ってはこれまでに、男性が県の窓口に公益通報したことから4月中旬、県幹部に「通報結果が出るまで処分を待った方がいい」と部下が進言。斎藤氏にも伝わったものの受け入れられなかったことが、百条委での県職員の証言で明らかになっている。
さらに、処分案を審議する5月2日の綱紀委員会で、委員である県幹部3人が「公益通報の調査結果を待たずして『誹謗(ひぼう)中傷文書』と断定することに問題はないのか」「公益通報の調査結果を待って処分すべきではないか」といった意見を述べていたことが新たに判明した。
文書で名前の挙がった井ノ本知明・総務部長(当時)が委員長を務めており、その点を疑問視する意見もあったが、井ノ本氏や人事課長からは処分時期も含めて問題ないとの認識が示され、そのまま処分が下されたという。
百条委は今月30日もパワハラ疑惑に関する証人尋問を行い、斎藤氏が証言する予定。9月5、6日には公益通報の対応についても検証する。

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