28日以降に日本上陸の可能性がある台風10号の中心付近の最大瞬間風速は50メートル(秒速)に達する見通しだ。気象庁が「屋外での行動は極めて危険」と定めている風速で、走行中のトラックの横転や、金属屋根の葺材が広い範囲で剥がれる被害を想定している。平成30年9月に近畿地方に上陸した台風21号が同規模の風速で、関西国際空港と対岸を結ぶ連絡橋にタンカーを衝突させたほか、住宅被害約9万8000棟、死者14人を出す大きな被害を及ぼした。
日本記録は91メートル
気象庁が紹介する「風の強さと吹き方」によると、最大瞬間風速50メートル(秒速)以上、平均35~40メートル以上を〝猛烈な風〟と表現し、前述した被害を想定している。最大瞬間風速60メートルを超えると、「樹木・電柱・街灯が倒れ、ブロック壁が倒壊」「木造住宅が倒壊し始め、鉄骨構造物が変形する」ような被害が及ぶとみる。
ちなみに、最大瞬間風速の日本記録は、昭和41年9月25日に台風26号によって富士山頂で観測した91・0メートル。また、「平均風速」は10分間の平均、「瞬間風速」は3秒間の平均を示し、瞬間風速は平均風速の1・5倍程度になることが多いが、大気の状態が不安定な場合には3倍以上に達することもある。
6年前と規模と進路酷似か
近畿や四国地方を中心に大きな被害をもたらした平成30年9月4日に近畿に上陸した「台風21号」は、関西国際空港で最大瞬間風速58・1メートルを観測した。暴風で流されたタンカーが関空の連絡橋に衝突して通れなくなり、利用客や空港の従業員など計約7800人が一時孤立する事態となった。
今回発生した台風10号も、28日には九州南部と奄美で、最大瞬間風速60メートル規模の風速で上陸が予想される。予想進路も、日本の南から発達しながら北上し、九州や四国、近畿など西日本を縦断した平成30年の台風21号と似ており、防災への危機意識が高まっている。