NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフが沖縄県石垣市の尖閣諸島を「中国の領土」などと発言した「放送テロ」をめぐる新たな問題が発覚した。NHKはスタッフの発言2カ所について「確認が不十分な点があった」として問題発言の内容を追加で公表した。問題発言の内容を「小出し」に訂正し、ニュース原稿自体が「改変」されていたことも明らかになった。NHK自身に事態を解明できるのか問われる事態で、松原仁元拉致問題担当相(無所属)は「国が真相究明する必要がある」と指摘した。
「NHKの小出し説明は国益の回復にはつながらない」
NHKの25日の発表によると、中国籍の男性外部スタッフは、「釣魚島(魚釣島の中国名)と付属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議します」とニュース原稿にない発言を中国語でしていた。当初の発表では「尖閣諸島は中国の領土」という部分しか公表せず、追加で発言部分を明らかにした際も、「歴史修正主義宣伝」という言葉の「宣伝」という単語が抜け落ちていた。
また、東京都千代田区の靖国神社の石柱に中国語とみられる落書きが見つかったニュースを伝える際にも、原稿になかった「『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた」という文言を一方的に加えて放送していた。
NHK広報局は「(不適切発言の内容について)翻訳の内容が一部欠落していました。(中略)改めてお詫び申し上げます」と謝罪した。
NHKが同スタッフの尖閣諸島をめぐる発言について公表したのは放送当日の19日だったが、英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女(慰安婦)らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」と発言していたことなどは22日まで明らかにされなかった。
内部調査では限界、国が真相究明する必要がある
NHKの関連団体が業務委託をしていたこのスタッフは、2002年から日本語のニュース原稿を翻訳して中国語でラジオで読み上げる業務を担当していただけに、過去にも同様な問題がなかったかなども懸念される。
松原氏は26日、夕刊フジの取材に「NHK側が小出しに説明していることは、国益の回復にはつながらない。中国には国防動員法(有事には民間の人やモノ、カネをすべて『強制接収』されることを定めた法律)もある。(外部スタッフは)日本に対する反感ではなく、中国に対する脅え、忠誠心から発信したのかもしれず、過去の内容や、背景を明確にする必要があるだろう。NHKだけの問題として矮小(わいしょう)化してはならない問題で、内部調査では限界がある。国が真相究明する必要がある」と語った。