今の「見立真一容疑者」はこんな顔…警視庁が似顔絵公開

平成24年、東京・六本木の雑居ビルで飲食店経営の男性=当時(31)=が殺害された事件で、警視庁は29日、殺人や凶器準備集合などの容疑で重要指名手配中の暴走族「関東連合」元メンバー、見立真一容疑者(45)の現在の容貌を推定した似顔絵を公開した。捜査幹部は事件当時、被害者の遺体に直面した経験を持つ。「〝逃げ得〟は許せない」。情報提供を呼び掛ける。
事件は24年9月2日未明に発生。ビル内のクラブ「フラワー」(閉店)で男性が金属バットなどを持った集団に襲われ、死亡した。
男性がいたのは店内の「VIPエリア」と呼ばれる部屋。犯行グループは通常の出入り口ではなく、VIPエリアに直結した出入り口から侵入し、凶行に及んだ。
その後の捜査で男性が襲われた原因は〝人違い〟だったと判明する。捜査関係者らによると、見立容疑者らが狙っていたのは、対立組織のある幹部だった。幹部には足を引きずって歩く特徴があり、犯行グループ側は現場店舗の関係者に対し、思い当たる人物が来店した場合連絡するよう求めていた。事件当日、関係者が事情を知らぬまま連絡した対象は両組織と無関係の被害男性だった。
警視庁の佐藤雅一捜査1課長は当時、遺体を調べる検視官。発生から数時間後、臨場した現場の床には酒瓶やその破片が散乱していた。「事件が起きたときは大勢の客がいた。混乱がうかがえた」
男性が座っていた南側のソファは血だまりになり、ソファ裏側のガラス窓には血しぶきが放射状に飛んでいた。現場を踏んだ後、遺体も調べた。所見は今でも詳細に覚えている。「被害者は自分がなんでこんな目に遭うのかわからないまま亡くなった。無念だったろうと思う」(佐藤課長)
これまでに警視庁は関東連合元メンバーの石元太一受刑者(42)=服役中=ら18人を逮捕。しかし、首謀者の見立容疑者は事件発生の2カ月後、フィリピンへ逃亡した。国際手配もされているが、足取りはつかめず、さまざまな情報が流れている。
同庁は発生から12年を迎える9月2日を前に29日、事件について異例の記者会見を行い、似顔絵を公開した。似顔絵は鑑識課の似顔絵捜査官の手によるもので、通常の似顔絵に加えて、痩せた様子と太った様子、笑顔を再現した計4種類を制作した。現場の図面も初めて公開した。
警察庁などは事件解決に結びつく情報提供に最大600万円の懸賞金を指定している。対象は国内外を問わず、佐藤課長は海外からの情報提供にも期待を寄せる。「理不尽な事件であり、〝逃げ得〟は許せない。国内外を問わず情報を提供してほしい」と訴えた。
情報提供は警視庁麻布署捜査本部(03・3479・0110)まで。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする