3年前、宗像市にある私立高校で当時2年生の男子生徒がいじめ被害を訴える遺書を残して自殺した問題です。
男子生徒の母親が部活の上級生4人を相手に損害賠償を求めている裁判で4日、母親と上級生の1人の間で和解が成立しました。
剣道部内で上級生からわいせつ行為などいじめ
訴状などによりますと、福岡県宗像市にある東海大福岡高校に通っていた当時2年生の侑大さんは、所属する剣道部の上級生からいじめを受け、2021年3月、いじめ被害を訴える遺書を残して自殺しました。
侑大さんが受けていた主ないじめ(訴状による)
▽スマートフォンの没収・無断使用
▽SNSの無断使用
▽顔面にガムテープを巻き付け両腕を縛る暴行と動画の投稿
▽アダルトグッズを無理矢理肛門に入れようとする
▽全身をガムテープで畳に貼り付けられズボンとパンツを下ろすなどの強制的なわいせつ行為
上級生4人を提訴
侑大さんの母親は今年3月「自死に至らしめるほど強い精神的苦痛を与えた」などとして当時の上級生4人に対し損害賠償を求める訴えを福岡地裁に起こしていました。
上級生1人と和解 謝罪と慰謝料
福岡地裁で4日、和解協議が非公開で行われ、母親側の代理人弁護士によりますと、上級生のうちの1人と和解が成立しました。
上級生は、侑大さんへの強制的なわいせつ行為について、体をおさえるなどして加担したことを認めて謝罪し、慰謝料を支払うことなどで合意したということです。
侑大さんの母親(50代)「自分の罪を認めて謝罪をしてくれたことに正面から向き合っていただいたと思う。1人でもいじめられる人が減ることにつながればいいなと思っています」
上級生3人は請求棄却を求め係争中
ほかの上級生3人については請求棄却を求めて係争中だということです。
上級生1人が保護観察処分に
この問題をめぐっては、今回和解した上級生とは別の加害者側の上級生1人が、強制わいせつの非行内容で家裁送致され、2年間の保護観察処分となっています。
福岡県が再調査を実施中
また、学校が設置した第三者委員会は、上級生によるわいせつ行為など10件をいじめと認定しましたが、このいじめが「自殺の一因になったものの、自殺の直接的な原因は特定できない」と結論づけました。
この結論に対し、遺族側は「調査が不十分」として福岡県に再調査を求め、専門家でつくる県の再調査委員会も「いじめの事実関係が明確になっていると言えず、遺族の主張も合理的なものと認められる」と答申しました。
今年2月から福岡県が再調査を実施しています。