自民党の茂木敏充幹事長(68)は4日、東京都内で記者会見し、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した。「増税ゼロの政策推進を実行していく」と強調。「(総裁任期の)3年以内に結果が出なければ責任を取る」と明言した。派閥裏金事件を踏まえ、政策活動費の廃止も打ち出した。
正式表明は5人目で、茂木氏は初挑戦となる。6日に小泉進次郎元環境相(43)が出馬会見を予定しており、現行のルールとなった1995年以降で立候補者数が最多の5人を超えるのは確実だ。
茂木氏は「成長力と生産性を向上し、一人ひとりの所得をアップさせることが最優先目標だ」と宣言。経済成長による税収や税外収入の増加で「数兆円単位の財源確保が可能だ」との認識を示し、「防衛増税、子育て支援金の追加負担、それぞれ1兆円を停止する」と訴えた。
政治改革を巡っては、政治資金パーティー収入を課税対象とする方針を掲げた。党の全収支を「見える化」し、「全く新しい自民党をつくっていく」と主張。ただ、政治資金の不記載があった安倍派議員らを次期衆院選で公認するかは「党選対本部で厳正に判断したい」と述べるにとどめた。
経済再生に関しては、国土強靱(きょうじん)化に加え経済、エネルギー、食料の「三つの安全保障」に資源を重点配分すると説明した。その上で「半年以内に必ずデフレ脱却宣言を行いたい」と述べた。
総裁選の争点に浮上した金融所得課税の強化には「正しい政策の方向性ではない」と否定的な考えを示した。
党内で賛否の割れる「選択的夫婦別姓」制度について、茂木氏は「世論の醸成、集約が大切だ」と指摘。自治体の子育て支援策を後押しするため、ふるさと納税と同じ仕組みで「子ども基金」を新設する考えを明かした。
また、幹事長の職務権限を5日から岸田文雄首相(党総裁)に委嘱すると語った。
総裁選は10人超の名前が取り沙汰される。上川陽子外相(71)は記者団に、20人の推薦人確保について「もう一息のところで、かなりめどは立ちつつある。何とか壁を突き破りたい」と語った。
[時事通信社]