窃盗犯は「上履き愛好家」として、名の知れた存在だった。
茨城県ひたちなか市の中学校で生徒の上履き13足を盗んだとして、同県日立市の無職、加藤徹也容疑者(52)が先月29日、窃盗と建造物侵入の疑いで同県警ひたちなか署に逮捕された。
6月8日午前9時過ぎ、加藤容疑者は自宅から約20キロほど離れたひたちなか市立田彦中に侵入し、げた箱から男女の生徒の上履き13足(1万3000円相当)を盗んだ。
同日午後、同市内の公共施設の職員が敷地内で上履き13足が入った透明のビニール袋を見つけ、「敷地内に上履きが放置されている」と警察に届け出た。
「犯行当日は土曜日で授業はなかったが、部活動などで先生と一部の生徒が出入りするため、校舎にカギはかかっていませんでした。盗まれたのが上履きで被害に遭ったのが田彦中だったことから、加藤の名前が浮上した」(捜査事情通)
というのも加藤容疑者が「上履きドロ」で逮捕されたのは、一度や二度ではなかったからだ。
2009年5月には自宅近くの日立市立大久保中学校で女子生徒の上履き14足を盗み、逮捕されている。
「犯行後、近所のコンビニでボストンバッグから上履きを取り出し、一足一足、コピー機で複写していた。その様子を目撃した男性店員から『女子中学生の上履きをコピーしている不審な男がいる』と通報があった。なぜかコピーを見て楽しんでいたようです」(捜査事情通)
11年5月にも再び大久保中に侵入し、女子生徒の上履きを盗み、16年12月には自宅から80キロほど離れた土浦市立土浦第四中で女子生徒の上履き2足をゲット。17年4月には今回と同じ田彦中に忍び込み、女子生徒の上履きを3足盗んでいる。
せっかく手に入れた貴重なコレクションを公共施設の敷地にポイ捨てしたのは、「用済み」になったからだったのか。加藤容疑者のコレクションの対象は、「女子中学生専門」だった。
「盗まれた上履きはどちらかというと、見た目は新しいというより、使い込まれた感じだった。ただ、田彦中の上履きには名字かイニシャルしか書いておらず、男女の区別がつかなかったみたいです。男子生徒の上履きも被害に遭っています」(捜査関係者)
これだけ犯行を重ねながら、男女の上履きが判別できなかったのは、コレクターにとって「誤算」だったのかもしれない。