小学生になった子どもの預け先が見つからず、親の就労が困難になる「小1の壁」と呼ばれる問題について、こども家庭庁は今秋、市区町村に対し、初めて全国調査に乗り出す。地域の取り組みや親の要望を把握し、適切な支援策につなげる狙いがある。
学童保育がカバーしていない朝の時間帯、親が先に出勤した後に自宅で1人で過ごし、玄関の鍵をかけて登校する子どもがいる。親は、こうした事態を避けるため出勤時間の変更を迫られるなど、キャリア形成に影響を及ぼすことになり、女性の活躍を妨げる要因になっているとの指摘もある。
大阪府豊中市などの取り組みが、全国調査実施のきっかけとなった。保育園並みの午前7時から子どもが小学校に登校できる事業を4月に開始したところ、1学期の利用者は、延べ5900人に上った。学校教員の負担を増やさないため、教育委員会の委託スタッフが見守る。
東京都三鷹市も昨年11月から市立小学校の開門時刻を7時30分に前倒しする事業を始めている。
同庁によると、今月末にも全市区町村を対象に、朝の時間帯の預かり事業の実施の有無や需要を尋ね、地域ごとの課題も把握する。来年3月までに結果をまとめ、対策に生かしたい考えだ。
子どもの居場所作りに取り組む民間団体「放課後NPOアフタースクール」(東京)が昨年、首都圏で小学生の子どもを持つ就労中の女性1000人を対象にしたアンケート調査では、小学校入学時に「働き方の見直しを検討した」家庭は、全体の51%に上った。