9月12日に告示される自民党総裁選に出馬を表明した小林鷹之前経済安保相(49)が、首相に就任しても靖国神社への参拝を続ける意向を持っていることが分かった。月刊誌「 文藝春秋 」10月号の インタビュー で小林氏本人が靖国参拝への思いを語っている。
中国で戦病死した祖父の存在
小林氏は今年8月15日の終戦記念日にも靖国神社を参拝し、記者団に「尊い犠牲になられた御霊に哀悼の誠を謹んで捧げてきた」と参拝の理由を語っていた。
インタビューでは、幼い頃から亡き父と共に、終戦記念日に限らず、折に触れて参拝してきたのだと明かした。その背景には、太平洋戦争中に中国で戦病死した祖父の存在がある。
「父が確か2歳の時に祖父が戦病死すると、残された祖母は祖父の弟と再婚しました。私は幼い頃から祖父の弟をおじいちゃんだと思ってきましたが、実は本当の祖父ではなかったのです。父は色んな気持ちを持って靖国に行っていましたし、私もその思いは共有しています」
こうした祖父への思いから、日本人にとって靖国神社がどのような意味を持つ場所か、徐々に理解を深めていったという。「今後も靖国参拝は続ける?」という質問に対して、
「これは内心の問題だと思っています」
と答えた小林氏。反発を強めるであろう中国・韓国など近隣諸国に対して、淡々と応じていく決意を感じさせた。
裏金事件の真相解明に本音も
「大前提として中国の出方を窺う受け身の姿勢はやめて、まずは日本としての対中戦略を作るべきです」と訴える。安全保障面での対中政策についてはこう語った。
「一昨年に改定した国家安全保障戦略で、南シナ海などで現状変更を試みる中国の動きを『これまでにない最大の戦略的な挑戦』と位置付けました。日本の防衛力を高め、日米同盟を強化し、同志国と連携することで対応するべきです」
今年の終戦記念日には、岸田内閣では木原稔防衛相ら3人の現職閣僚も靖国神社を参拝し、岸田文雄首相も玉串料を奉納している。
これに対し、中国外務省の林剣副報道局長が「歴史問題に対する日本側の誤った態度を改めて反映したもの」と批判するなど、中国側は反発を強めている。
インタビューは1時間30分にわたった。公開中の「 文藝春秋 電子版 」及び9月10日発売の「 文藝春秋 」10月号に掲載した「 総理でも靖国参拝は続けます 」では、裏金事件の真相解明について「限界を感じる」と本音を漏らし、総裁選出馬に当たって中学生の娘から突きつけられた厳しい一言についても明かしている。
「 文藝春秋 電子版 」では インタビュー動画 も公開している。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2024年10月号)