’24年の訪日外国人の数は3450万人、消費額は約7兆円に上ると予測され、過去最高を更新する見通しだ。だがその水面下で日本の繁華街が今、外国資本に買われているという“地殻変動”も起きていた。 ◆東南アジア化が加速する上野 かつて、生鮮食品店や乾物屋、お菓子屋、洋品店などが軒を連ね、ダミ声のオヤジたちが競い合うように客寄せをしていたアメヤ横丁の姿はすっかり消え失せていた。 通りを支配しているのは、中国、韓国、タイ、トルコなどの屋台料理系の飲食店。あたりには香辛料の匂いが立ち込め、外国人の若者が店の前に並べられた安っぽいプラスチック製のテーブル席に陣取り、豚の臓物料理を頬張っている。聞こえてくる言葉も外国語ばかりだ。 地元の不動産業者はこう語る。 「アメ横だけに限れば6~7割が外国人経営の店になっている。その背景には日本人経営者の高齢化と客層の変化があると思います」 全国各地の商店街と同様の現象がアメ横にも押し寄せている。店主の高齢化と後継者不足により閉店を余儀なくされた日本人経営の店──その間隙を縫う形で外国人が店の権利を買い、いつの間にかアジアンタウンのような様相を呈するに至った。 「現金で店舗権利を買い漁る中国系の業者もいます」(前出の不動産業者) ◆通称“宝島ロード”はまるで令和の闇市 外国人経営の店が多いのはアメ横だけではない。今年5月、中国籍の宝島龍太郎夫妻が栃木県の山中から遺体で発見された事件で一躍注目を集めた上野中通り商店街(通称・上中通り)も外国人経営者の密集地帯だ。 宝島氏はこの通りを拠点に、周辺を合わせると14店舗もの飲食店を経営しており、生前、街の人間たちはこの通りを「宝島ロード」と呼んでいた。日本人のバー経営者は言う。 「アメ横と違って、いかにも外国風の店ではなく、普通の居酒屋、焼き肉店、カフェなどが多く、一見外国人経営の店に見えないが、実際は中国系の店が大半。ある中国人経営者はヤクザにみかじめ料を払う必要もないと言ってました」 中国系マフィアの暗躍も囁かれる通りだが、こうしたエリアは年々拡大傾向にあるという。令和の闇市が生まれつつあるようだ。 取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/高橋宏幸 ―[ルポ 買われる[日本の繁華街]]―