派閥単位の動き制約、党内基盤弱い2人が決選投票に…石破茂・新総裁「今までと全く異なる」

27日に投開票された自民党総裁選は、派閥単位の動きが制約され、地方の声が大きく反映される結果となった。「派閥」を支持基盤とする候補は苦戦を強いられる一方、かねて党内基盤が弱いと指摘され続けてきた石破茂・元幹事長と高市経済安全保障相が決選投票に進み、「脱派閥」も印象付けた。
「(これまでは)派閥の合従連衡で総裁が決まることが多かった。今回は今までと全く異なる総裁選だった」
石破氏は党本部で開かれた新総裁選出後の記者会見で、こう強調した。
党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、派閥解消の流れを受けて初となった今回の総裁選では、派閥の締め付けが緩くなり、立候補に推薦人が必要となった1972年以降、過去最多の9人が出馬した。
候補が乱立し、それぞれに推薦人を出した結果、派閥や旧派閥の支持は分散した。唯一従来の派閥を維持する麻生派でも、麻生副総裁が河野デジタル相の支持を表明する一方、推薦人は7陣営に分かれた。
旧安倍派も支持はバラバラだった。福田達夫・元総務会長ら中堅・若手が小林鷹之・前経済安保相を支持したが、「裏金議員」の負のイメージが解消されず、表立った支援を敬遠されるケースもあった。
「股裂き状態だ」(中堅)との悲鳴が上がったのは、総裁派閥だった旧岸田派だ。同派から林官房長官と上川外相が出馬したほか、岸田首相側近の木原誠二幹事長代理らが小泉進次郎・元環境相を支持した。旧茂木派も茂木幹事長と加藤勝信・元官房長官の2人が出馬した。
派閥単位の支持が割れた結果、1回目の投票で党員票の比重が高まり、党員票を激しく奪い合った石破、高市両氏が決選投票に進み、最後まで競り合った。当初は出馬に必要な20人の推薦人確保も危ぶまれた両氏だけに、党内では「総裁選が様変わりした証しだ」と受け止められている。
もっとも、最終盤では麻生派や旧岸田派がそれぞれの枠組みで連携する動きを見せた。党内には「権力闘争は党を活性化させる。一定の塊は必要だ」(閣僚経験者)との声も出ている。

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