「幻の貨幣」50万枚を京都の倉庫で発見…表面に富士山、裏に桜の「1銭陶貨」

造幣局は9日、戦時中の金属不足により製造された陶器の貨幣「陶貨」50万枚超が、京都市東山区の製造工場跡地近くの倉庫から見つかったと発表した。陶貨は、発行前に終戦を迎えたため流通せず、「幻の貨幣」とされ、これだけ大量に見つかるのは初めてという。
1944年頃、当時の大蔵省造幣局は、貨幣の材料の銅やアルミなどが軍需品となり不足したため、陶貨の研究を開始。45年に委託先の京都市、愛知県瀬戸市、佐賀県有田町の民間の3工場で約1500万枚が製造された。
しかし、終戦で金属不足が落ち着き、廃棄が決定。国の命令で多くが粉砕処分されたとみられるが、流出した一部が各地の資料館などで展示されている。
今回見つかったのはいずれも「1銭陶貨」(直径15ミリ)。表面には、富士山と、反対側に桜が描かれている。東山区の歯科器材メーカー「松風」の倉庫内で、木製の箱に保管されていた。同社は、陶貨を製造した企業の関連会社で、昨年8月に見つけ、造幣局に連絡して引き渡したという。

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