青森市の観光施設「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」で6日、八甲田丸就航60周年を記念する講演とフォーラムが開かれた。
八甲田丸は、青森市と北海道函館市を結ぶ青函連絡船として、1964年に就航。航路廃止の88年まで、歴代の連絡船で最長の23年7か月も運航された。
基調講演では、鉄道博物館(さいたま市)の香月良太学芸員が、青函航路の歴史を説明した。海上交通でありながら本州と北海道を結ぶ幹線鉄道の一部として機能した点を強調し、「本来は鉄道路線完成までのつなぎなのに、青函連絡船が80年も運航されたのは世界的に珍しい」と指摘した。
その後のフォーラムでは、青森市の西秀記市長、香月学芸員らのほか、青函連絡船がテーマのNHK地域発ドラマ「進め!青函連絡船」(2016年)に出演した俳優の吉田栄作さんも参加。神奈川県出身の吉田さんは、「もし八甲田丸が老朽化でなくなったら寂しい。横浜の氷川丸は国の重要文化財に指定されている。補修し、この場にずっとあり続けてほしい」と訴えた。
青森市は来年、青森港開港400年を迎え、また再来年には弘前藩主の津軽信枚の命でまちづくりが始まってから400年となるのを記念する行事を予定している。西市長は「市民が楽しく歴史を学び、地元への誇りや愛情を高めてもらうきっかけになれば」と期待していた。