3月13日夜、朝日新聞は「石破首相側が15人の議員側に商品券配布」と題して、石破茂首相の事務所が3月3日に自民党の新人議員15人に10万円相当の商品券を配ったことを報道した。政治資金規正法は政治活動に関する寄付を原則禁じているが、石破首相は同日深夜に記者団の取材に応じ、「お土産代わりに自分のポケットマネーから出した」と説明した。
【ランキング】自民党への直近3年の献金額が多い企業はどこか
こうした展開を予想したわけではなかろうが、自民党内でにわかに「石破降ろし」の機運が出てきている。
「”党の顔”として責任を果たす資格がない」
「昨年の衆院選で大敗しているから、(石破茂首相は)参院選の“党の顔”として責任を果たす資格がない。予算が通った後は、参院選の顔としてふさわしい人を選び直す手続きをしてほしい」
西田昌司参議院議員は3月12日に開かれた参議院自民党の議員総会で、石破首相に公然と反旗を翻した。参院3期目の西田氏だが、今年改選を迎える身としては、支持率がさほど上がらない石破首相の存在は気が気ではないのだろう。
実際、3月10日に公表されたNHKの世論調査では、内閣支持率は36%で、不支持率は45%と、不支持率が再び支持率を上回った。
2月の調査では内閣支持率は44%、不支持率は35%と訪米効果が見られたが、それも衆議院での「103万円の壁」に関する自民党・公明党と国民民主党の攻防戦や、ガソリンの暫定税率をめぐる自民党・公明党・日本維新の会と立憲民主党・国民民主党の対立などが影響し、一気に悪化した。
さらに高額療養費制度の見直しについて、石破首相は3月7日に全国がん患者団体連合会、日本難病・疾病団体協議会の代表者たちと首相官邸で面会し、今年8月に予定していた患者負担限度額の引き上げを見送ることを伝えた。これが「政治的英断」ではなく、「世論に政府が押し切られた」と受け取られたのだろう。
「今なおご理解をいただくに至っていないことを、私自身が実感したところでございます」。3月13日の衆院予算委員会で石破首相は、立憲民主党の野田佳彦代表に認識が甘かったことを吐露している。
同制度をめぐっては、2月14日には同じ病気について1年間に3回以上高額療養費制度を利用した場合に4回以降は負担が減少する「多数回該当」を見直しから除外した。そして3月4日には「8月の改定は実行するが、それ以降は来年秋に検討する」としていた。さらに今回、3度目の対応の変更を余儀なくされた。このため、参議院に送られた2025年度予算案は再修正されることになった。