女子中学生2人に性的暴行を加えた北九州市内の中学校の教員(事件当時)・塩谷航太被告(26)に対し、福岡地裁小倉支部は7月10日、懲役6年の実刑判決を言い渡した。
裁判長は「自身の性的欲望を満たすため」と認定したうえで「動機や経緯に酌むべき点はない」と厳しく指摘した。
スマホの位置情報対策などを挙げた検察側「手口は巧妙かつ手慣れている。悪質極まりない」と主張
判決によると、塩谷被告は2024年11月、女子中学生2人に性的暴行を加えるなどした。
女子中学生Aさんに対しては北九州市小倉北区のホテルで性的暴行を加え、さらにその様子を自身のスマートフォンで撮影して保存。
女子中学生Bさんに対しては門司区の店舗駐車場に止めた車の中でわいせつな行為をし、別の日にはホテルで性的暴行を加えた。
女子中学生Bさんに対する事件について、検察側は論告求刑公判で「常習的にわいせつ行為を繰り返す中、位置情報が親に知られて発覚することを避けるため、スマートフォンをコインロッカーに預けさせたうえで犯行に及んでおり、手口は巧妙かつ手慣れている。悪質極まりない」と主張した。
福岡地裁小倉支部「その立場にかかわらず…熟慮できない成長段階に乗じた犯行」
判決で福岡地裁小倉支部(三芳純平裁判長)は「中学校の常勤講師として勤務していた被告人が、その立場にもかかわらず、被害者らと多数のメッセージをやり取りする中で積極的に甘言を弄して性的な話題を繰り返し提供するなどして会う約束を取り付け、ホテルに誘うなどして一連の犯行に及んでいる。各被害者が被告人と性的関係を持つことの意味合いや影響を未だ熟慮できない成長段階にあることに乗じた犯行であるといえ、強い非難に値する」と指摘した。
「本来であれば明らかに不本意であるはずの性的関係」被害者への長期的影響を懸念
判決では被害者への影響についても言及された。
福岡地裁小倉支部は「各被害者は、事件当時から被告人に嫌悪感を有していたわけではないにしても、本来であれば明らかに不本意であるはずの性的関係を持たされた。今後の成長過程において表面化するであろう、本件の被害に遭ったことによる影響は深刻なものになると懸念される」と指摘。
被害結果は重大であり、各被害者の保護者が塩谷被告の厳罰を望んでいることも「当然といえる」と判断している。
「自身の性的欲望を満たすため」と塩谷被告の動機を厳しく指摘
塩谷被告の動機について、福岡地裁小倉支部は「自身の性的欲望を満たすために犯行に及んだ側面が強い」「本件の動機や経緯に酌むべき点はない」と指摘。
そのうえで塩谷被告の情状面
・前科がないこと
・事実をすべて認めていること
・父親が監督を誓約していること
・被害者の保護者に被害弁償の申出をしたこと
なども考慮したうえで
「刑を減軽した上で執行猶予を付すことが視野に入る事案ではない」として塩谷被告に懲役6年の判決(求刑・懲役7年)を言い渡した。